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「裏切り者」を「人気者」にした明智光秀の大減税

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“庶民思い”明智光秀の「別の顔」

坂本城址に立つ明智光秀像(滋賀県大津市)
坂本城址に立つ明智光秀像(滋賀県大津市)

 光秀の減税が長く続いたことは、後世の庶民が描く光秀像にも影響したはずだ。現に江戸後期の奇談を集めた『耳袋』には「京都で盆の灯籠を30日間(とも)す風習は、明智光秀による地子銭の免除を喜び、明智滅亡後に追善の思いを込めて行われるようになった」という話が載っている。本当にこんな風習があったかどうかは不明だが、「庶民の味方」という光秀像は、江戸時代にはすでに都市伝説のように広がっていたようだ。

 「いだてん」が始まったばかりでだいぶ気が早いが、来年の大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公は光秀だ。発表されたドラマの「企画意図」には「麒麟は王が仁のある政治を行う時に必ず現れるという聖なる獣。応仁の乱後の荒廃した世を立て直し、民を飢えや戦乱の苦しみから解放してくれるのは誰なのか…」とある。おそらく光秀を麒麟に見立て、庶民思いの政治家として描くのだろう。

 ドラマの企画意図に水を差すつもりはない。だが、光秀研究の第一人者として名高い歴史学者の高柳光寿(みつとし)(1892~1969)は、「光秀は仏のうそは方便というといったほどの男だ。叡山の焼打ちにも、本願寺の攻撃にも、少しも精神的な苦痛は感じなかっただろう」(吉川弘文館『明智光秀』)と記し、光秀は信長と同じ合理主義者だったと指摘している。宣教師ルイス・フロイスの『日本史』も、光秀を「裏切りや密会を好む」「己を偽装するのに抜け目がない」「誰にも増して信長に贈与することを怠らない」「刑を科するに残酷」などと評価している。

 人物の評価は見る角度によって異なるし、庶民思いの善政が、裏を返せば支持率アップを狙った人気取りに過ぎないことも珍しくない。ドラマでの光秀の活躍は楽しみだが、都市伝説だけを基にした光秀像では少し物足りない。世界中にポピュリズム政治が広がるなか、学ぶべきは戦国の世をたくましく生き抜いた京都の町衆の冷徹な視線なのかもしれない。

プロフィル
丸山 淳一( まるやま・じゅんいち
 読売新聞東京本社経済部、論説委員、経済部長などを経て、熊本県民テレビ報道局長から読売新聞編集委員・BS日テレ「深層NEWS」キャスターに。経済部では金融、通商、自動車業界などを担当。東日本大震災と熊本地震で災害報道の最前線も経験した。1962年5月生まれ。小学5年生で大河ドラマ「国盗り物語」で高橋英樹さん演じる織田信長を見て大好きになり、城や寺社、古戦場巡りや歴史書を読みあさり続けている。

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60749 0 深読み 2019/01/18 07:00:00 2019/02/05 15:28:56 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190117-OYT8I50002-T.jpg?type=thumbnail

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