小学校卒業式のはかまに賛否…なぜ問題視?

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きもの市場に二つの変化

(画像はイメージ)
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 2000年以降、きもの市場に二つの変化が起こった。

 一つは、インターネット利用が一般化し、着付け・製品知識・コーディネートなどに関する消費者知識が向上したこと。

 もう一つは、リサイクルきものの新たな流通チャネルが形成され、誰もが手が届く価格で中古品が入手可能になったことだ。その結果、小学校卒業式のはかまも中古品であれば、「フリマアプリを活用し、数千円で全身コーディネートできた」という話もある。

 着付けに関しても、YouTubeなどの動画共有サイトで「小学生のはかまの着付け」を学んだ母子が練習をすれば、必ずしも早朝から美容室の予約を入れなくとも良くなる可能性がある。

 こうしたきもの市場を巡る変化は、フォーマル着ではなく、日常のファッションとしてきものを楽しむ新たなユーザーも生み出している。そうしたニーズに対応するため、より手軽でメンテナンスしやすい素材のきものも開発されている。

 実際に、小学校卒業式のはかまレンタル・サービスを提供するネット事業者を見ると、ほとんど全てのきものの素材を、絹ではなくポリエステルで代用しており、その分標準セット価格は8000~2万5000円程度と、成人式や大学の卒業式と比べて、ずっと手ごろな価格を実現している。また、問題ある販売手法についても、経済産業省で商慣行改善の指針が出されるなど、根絶に向けた取り組みが進んでいる。

子どもたちのためにできる支援

 小学校卒業式の装いを巡り、はかまだけに批判が向けられた背景には、和装への誤解も多分に影響している。実際には「華美」や「経済的負担」という点については、洋装も含めて対応が検討されるべき課題であることがわかる。

 一方で、子どもたちのきものの着用意向(保護者が着用させたい意向)は高まっており、和装業界は小学校卒業式を単なる販売機会ととらえるのではなく、子どもたちがきものを好きになる機会として、積極的に支援していくべきだと考える。

 例えば、丹後ちりめん(京都府与謝野町)や秩父銘仙(埼玉県秩父市)といった伝統的なきものの産地では、自治体と市民ボランティアが協力しながら、その土地で作られる本物のきもので小学校卒業式を祝おうという運動がある。

 与謝野町では、地元の婦人会メンバーが「絹のぬくもりを子供たちに」という思いで2007年から小学校卒業式のきものの制作・貸し出しを始めた。現在は、町内の希望する小学校で無料レンタルを実施している。着付けも当日午前7時から、婦人会メンバーと町民ボランティアが行う。同町婦人会会長の芋田保子さんは、「親世代の思いから始まった取り組みだが、次第に子どもたちの間で丹後ちりめんに対する強い愛着が芽生えている」と話す。母や祖母のきものを仕立て直し、卒業式に着る児童も増えている。

 これほどの取り組みは、産地でこそ可能だとしても、小学校卒業式で和装を積極的に活用することで、日本の文化としてのきものや、地域産業の魅力を学ぶ機会とすることはできるだろう。

 きものを着る児童が、素材の特徴や着付け、所作を学ぶ機会を設ければ、着用時の「着崩れ」や「身のこなし」から生じる問題も解消していけるかもしれない。地域と産業、教育機関が一体となって、取り組む価値のある課題ではないかと考えている。

プロフィル
吉田 満梨( よしだ・まり
 立命館大学国際関係学部卒業、神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程修了(博士商学)、首都大学東京都市教養学部経営学系助教を経て、2010年より現職。専門はマーケティング論で、特に新しい製品市場の形成プロセスに関心を持つ。主要著書に、『ビジネス三國志』(共著、プレジデント社)、『マーケティング・リフレーミング』(共著、有斐閣)、訳書に『エフェクチュエーション:市場創造の実効理論』(碩学舎)など。

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487016 0 深読み 2019/03/14 07:20:00 2019/03/14 11:46:02 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190220-OYT8I50030-T.jpg?type=thumbnail

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