電車内の「迷惑」、ささいなことに腹が立つワケ

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相手の抱える事情を想像してみる

日本民営鉄道協会が作った「駅と電車内の迷惑行為ランキング」ポスター(2017年版)
日本民営鉄道協会が作った「駅と電車内の迷惑行為ランキング」ポスター(2017年版)

 ――イライラの原因をなくしたいとしても、例えば「リュックは前で抱えるのがマナー」などと注意した結果、逆ギレされるのは困ります。口論になって遅刻したり、暴力沙汰になったりしては、デメリットが大きすぎます。トラブルに巻き込まれないための自衛策はあるでしょうか。

 たとえ善意に基づく注意だとしても、大勢の前で、見知らぬ人から指摘されたら、「ケンカを売られた」と受け止める人もいるでしょう。自分が悪かったという罪悪感は生まれません。それどころか、注意してきた人への怒りや人前で非難された屈辱感が増すばかりです。

 パーソナルスペースを侵害され腹が立ったとしても、混雑する電車内で過ごす時間は、そう長いものではないでしょう。

 正義感の強い人には不本意かもしれませんが、なるべく気にしないことが一つの答えです。イライラが抑えられず、注意したくなったら、いったんホームに降りて別の車両に移るのも良いでしょう。

 それと、こういう場面で大事なのは、「相手が何らかの事情を抱えているかも」と、積極的に想像を巡らせること。そうすれば、むしろ許容できるケースもあります。例えば、混雑する車内でリュックを下ろさない人は、手に障害があるなど、下ろそうにも下ろせないのかもしれません。電車内ではスマホでの通話は控えるべきですが、緊急事態で遠慮がちに話す人を見かけても、とがめる人はいないでしょう。それと同じです。

 トラブルが起きるたび、何でもかんでも規制を強化する方向に進むのはどうでしょうか。世の中の自由度を維持するため、成熟した社会になるためには、一人ひとりが少しずつ気配りすることが欠かせません。都市部に住む以上、見知らぬ人同士と接点を持つことは避けられないからです。我慢はあくまで自衛策。根本的には、お互いが配慮し合い、通勤時間のストレスを少しでも減らすことが大切です。(聞き手・読売新聞メディア局編集部次長 室靖治)

プロフィル
菅原 健介( すがわら・けんすけ
 1958年生まれ。横浜国立大学教育学部卒、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程心理学専攻修了。専門は社会心理学、性格心理学。著書に「羞恥心はどこへ消えた?」(光文社新書)、「人はなぜ恥ずかしがるのか」(サイエンス社)、「下着の社会心理学」(朝日新書)など。

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456519 0 深読み 2019/02/25 07:00:00 2019/02/25 07:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190220-OYT8I50055-T.jpg?type=thumbnail

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