聖地巡礼を通せんぼ?便利なIC乗車券のはずが…
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「スイカ」で駅の改札を通って電車に乗り、目的地の駅で降りて改札を出ようとしたら、通過できなかった。チャージ金額が足りなかったわけでもないのに……。都市伝説でも故障でもなく、JR各社の事情によるのだそうだ。どういう状況でこんな落とし穴にはまるのか。不便を改善する方法は? JRの発券システムに詳しい中尾一樹さんに解説してもらった。
「ラブライブ!」ファンが困惑

――JR東海道線の沼津駅(静岡県沼津市)で、「改札でスイカをタッチして抜けようとしたら、通れなかった」と不満を漏らす人が何人もいると聞きました。何が起きているのでしょう。
沼津は、大ヒット中のアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の舞台です。東京駅からであれば、新幹線を使わなくても東海道線に乗って2時間余りで行ける距離。そのため、“聖地巡礼”と称して、作品に登場する場所へコストをかけずに行こうとするファンが増えています。
東京周辺から新幹線以外で西へ向かう場合、出発駅の改札でスイカをタッチして乗る人は多いでしょう。東海道線は、熱海駅より西がJR東海の管内です。目的地の沼津は、熱海の先にありますから、JR東日本とJR東海をまたいで乗ることになりますね。
ところが、ICカード乗車券は、異なるエリア間では利用できないという大原則があるのです。つまり、東京駅など東京エリアの駅から乗ったスイカを沼津駅の改札でタッチしても、外へ出ることはできません。駅係員に問い合わせると、原則として現金での精算を求められます。東京―沼津なら運賃は2270円。往復なら5000円近い金額になります。最近はキャッシュレス化が進み、現金を持ち歩かない人も増えているはず。現に知り合いから、沼津で降りられず困ったという声を複数聞きました。