「居酒屋御三家」あの看板を最近見ないワケ

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リーマン・ショックによる業界「地殻変動」

 市場縮小に苦しむ居酒屋業界に追い打ちを掛けたのが、08年のリーマン・ショック後の景気低迷だった。鳥貴族が「全品280円均一」の店舗網を拡大すると、三光マーケティングフーズが「270円均一」で対抗、10年頃、「激安均一戦争」が全国に広まった。

 そこに11年3月11日、東日本大震災が発生。宴会のキャンセルや自粛が広まり、宴会需要に依存していた高客単価の居酒屋やチェーンが経営難に陥った。この時期に新旧御三家の多くの店舗が閉店に追い込まれたり、業態転換によって生き残りを図ったりした。

塚田農場(東京都千代田区で)
塚田農場(東京都千代田区で)

 リーマン・ショック、東日本大震災を経て勢力を伸ばしたのは、「全品298円均一」(17年10月に280円均一から値上げ)の「鳥貴族」、みやざき地頭鶏(じとっこ)を使った「宮崎県日南市 塚田農場」(エー・ピーカンパニーが運営)、大阪伝統の味「串カツ田中」(串カツ田中ホールディングスが運営)、「丸亀製麺」を運営するトリドールホールディングス傘下に入った「立呑み 晩杯屋(ばんぱいや)」などである。わかりやすい店名で専門店であることをアピールし、低価格という価値を追求し人気を博した。

つぼ八買収は「業界再編」の胎動か?

 冒頭でもふれた通り、居酒屋チェーンの歴史に大きな足跡を残したつぼ八は、やまや・チムニー連合の傘下に入った。やまや・チムニー連合は、この買収により、居酒屋チェーントップのモンテローザに次ぐ規模に拡大した。

 居酒屋チェーンは今後、M&Aによるさらなる再編を余儀なくされるのは間違いないと筆者は見ている。再編の台風の目となるのは、やまや・チムニー・つぼ八連合だろう。

 追撃するのは、やまやとしのぎを削っている酒類販売大手カクヤスと業務提携する阪神酒販グループだ。焼き肉店「牛角」などをFC展開するJFLAホールディングスの筆頭株主であり、M&A戦略に積極的だ。これに続くのが「村さ来」を買収したジー・テイストだ。業務用スーパーの神戸物産グループと提携関係にあり、業界再編に意欲を燃やしている。

 つぼ八の買収をきっかけに起こった再編の波は、ほかの新旧御三家も巻き込んでいくと筆者は見ている。市場が縮小する中で、居酒屋チェーンは合従連衡する以外に活路が開けないからだ。

プロフィル
中村 芳平( なかむら・よしへい
 外食ジャーナリスト。1947年、群馬県生まれ。実家は「地酒の宿 中村屋」。早稲田大学卒。流通業界、編集プロダクション勤務、『週刊サンケイ』の契約記者などを経てフリーに。日刊ゲンダイの「語り部の経営者たち」にレギュラー執筆、ネット媒体「東洋経済オンライン」に外食モノ、「フードスタジアム」に「新・外食ウォーズ」などを連載している。著書に「 居酒屋チェーン戦国史 」(イースト新書)など

居酒屋チェーン戦国史(イースト新書)
居酒屋チェーン戦国史(イースト新書)

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473433 0 深読み 2019/03/07 07:00:00 2019/03/07 11:33:13 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/03/20190304-OYT8I50007-T.jpg?type=thumbnail

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