米朝合意なし、「最大譲歩」した北朝鮮の次の一手

無断転載禁止
メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

国内向け説明、いつまで取り繕えるか

米朝首脳会談が開かれたハノイにあるホテルの庭で、談笑する金正恩委員長(左)とトランプ大統領(2月28日、ロイター)
米朝首脳会談が開かれたハノイにあるホテルの庭で、談笑する金正恩委員長(左)とトランプ大統領(2月28日、ロイター)

――北朝鮮の国民は制裁解除を期待していたはずだ。国民に対して、今回の会談結果をどう説明しようとしているのか。

 「北朝鮮はハノイ会談にかなり高い期待を寄せていたと思う。金正恩氏が平壌を出発する前から、国営メディアは写真付きで米朝首脳会談を大きく宣伝した。きっと今回こそ、大きなお土産を持ってくるだろうと北朝鮮国民は期待したに違いない。

 2017年から2年連続でマイナス成長を続けた北朝鮮経済は今、深刻な状態にあるのは間違いない。ハノイ会談でトランプ大統領は『急がない』という言葉を連発したが、正恩氏は『我々には1分も貴重だ』と焦りを隠せない場面もあった。

 それほど、切羽詰まった状態で正恩氏はトランプ大統領に会った。しかも、制裁の全面解除という高い目標を掲げて、ハノイに乗り込んだ。ところが、結果は何一つ手に入れることができないまま、帰国の途に就いた。

 北朝鮮のメディアは、会談は「大成功」と報じているが、いずれ国民向けに説明が必要になってくるだろう。何より、制裁が今後も続くという状況下で、国民に我慢を強いるための理屈をひねり出さなければならない。

 今のところ、米国に対して表立った非難は控えている。米国を非難することには、二つのリスクがあるからだ。国民が会談の失敗に気付いて動揺する可能性、米国が二度と話し合いに応じてくれないリスクだ。

 しばらくは、会談の結果についての正確な説明はせず、あいまいにしたまま、米国と実務者交渉を続けようとするのではないか。

 問題は、正恩氏と一緒にハノイを訪問した北朝鮮の要人たち、外交部門と経済部門の幹部たちが、会談の結果を知っていることだ。政権の士気低下、国民の中に動揺が広がる可能性も否定できない」

助けを求める相手は……

米朝首脳会談が物別れに終わった後、ポンペオ国務長官(右)とともに記者会見に臨むトランプ大統領(AP)
米朝首脳会談が物別れに終わった後、ポンペオ国務長官(右)とともに記者会見に臨むトランプ大統領(AP)

――北朝鮮は今後、どうやって事態を打開しようとするのか。周囲を見回すと、頼れそうなのは中国か韓国しかいない。

 「中国に対しては、非核化の意思があることを再度表明したうえで、中国が今まで主張してきた段階的、相互主義的な原則での非核化に米国が乗る準備ができていなかったと説明するだろう。そして、非核化の成果が出るまで中国が北朝鮮を支えてほしいと要求するのではないか。もし、中国の態度があいまいで、積極的でなければ、ロシアに接近する姿勢を見せるなど、『二股外交』を使ってでも中国を動かそうとする可能性もあるだろう。

 しかし、中国は公式には『一貫して国連制裁決議の内容を厳格に順守している』との立場だ。制裁に抵触するような支援はできないのではないか。しかも米国は、中国が勝手に北朝鮮を支援すると、『制裁を通じて北朝鮮に核放棄を迫る』という作戦に穴が開く可能性があるので、中国に圧力をかけている状況にある。米国が中国に貿易戦争を仕掛けているなか、中国としても下手に北朝鮮の支援はできないだろう。

 ただ、北朝鮮の国民生活に直接かかわる部門においては、中朝間の民間交流を多少目こぼしする形で、国連制裁の枠組みは守りつつ、最低限のエネルギー、食糧の供給は途絶えないようにするだろう。北朝鮮を生かさず、殺さずという状態に置いておけば、中国は今まで通り影響力を行使できる。

 気になるのは韓国の動きだ。文大統領は、会談が決裂した翌日、北朝鮮との経済協力事業として注目されてきた『金剛山観光事業、開城工業団地の再稼働について、米国と協議するつもりだ』と語った。

 しかし、韓国が、非核化に応じてもいない北朝鮮に前のめりになって支援や経済交流を進めようとしていることは、米国も気付いている。米国は昨年11月、韓国政府に要請して、米韓ワーキングクループを作り、韓国の動きを『監視』する体制をすでに作った。韓国もまた、下手に動けない状況だ。

 北朝鮮が打つ手は、二つしかないのではないか。米国の要求を全面的に受け入れて本当に非核化に向けて歩みだすか、米国と再び対立するかだ」

1

2

3

472627 0 深読み 2019/03/05 07:00:00 2019/03/05 11:23:05 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/03/20190304-OYT8I50081-T.jpg?type=thumbnail

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ