50M走で骨折、片足で立てず…子どもの体に何が?

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スポーツでは補えない場合も

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 では、スポーツをさせれば、体力も運動能力も身に付くのかといえば、私は必ずしもそうではないと思います。スポーツは成長期を終えた大人が楽しむために考え出されたものが多く、例えば、利き腕の使用頻度が高いなど、体の特定の部分を中心に使うケースが目立ち、その箇所だけが発達することも多いのです。

 また、スポーツでは指導者にもよりますが、子どもたちは「やらされる」ように感じることも多くあります。一方、遊びは自分から「ワクワクドキドキ」と感じるものに自発的に取り組むものです。この違いは、脳の発達にも影響を与えます。

自発性が前頭葉も成長させる

 宇都宮市の幼稚園で40年以上続いている「じゃれつき遊び」という取り組みがあります。朝、時間を設けて、部屋の中で、「何をやっても、何を使ってもよい」というルールで自由に遊ばせます。高さ1メートルくらいのロッカーの上から飛び降りたりもします。

 この幼稚園の園児に関して、大脳で感情や意欲を担う前頭葉の働きを調査し、こうした遊びをしていない園児たちと比較したことがあります。

 教育生理学では、集中を持続させることができずに、いつもそわそわして落ち着きがないという特徴の子どもを「不活発型」と分類していますが、この「不活発型」は「じゃれつき遊び」を導入している幼稚園では6.7%であるのに対し、導入していない別の幼稚園では34.4%でした。

 幼児期に体を使った遊びを体験することが、体の成長だけではなく、脳の働きにも効果があることがわかってきているのです。

外遊びが難しい時代にするべきこと

 現代は子どもの外遊びが難しい時代です。それと似たような状況作りを、大人が積極的に仕掛けていかないといけないのです。

 こうした取り組みをする場合、保護者はけがを心配します。「じゃれつき遊び」でも、周りで先生たちが目を配り、さらに「頑張れ」と声をかけて無理をさせないことを意識します。無理をさせれば危険が生じるからです。

 しかし、擦り傷などの小さなけがを嫌い、体を使った遊びをさせないようにすると、先述のように、子どもたちは骨が弱くなったり、体がうまく使えなかったりするなど、体の成長に影響が出てしまう可能性があります。ささいなことで大きなけがを負ってしまうことにもなりかねません。幼少期の子どもたちに「ワクワクドキドキ」するような、全身を使った遊びを体験させることが大切なのです。

(聞き手・メディア局編集部 河合良昭)

プロフィル
野井 真吾( のい・しんご
 1968年、東京都生まれ.日本体育大学大学院体育科学研究科博士後期課程修了。博士(体育科学)。東京理科大学専任講師、埼玉大学准教授、日本体育大学准教授を経て現職。「子どものからだと心・連絡会議」議長。学校保健学、教育生理学、発育発達学、体育学を専門領域として、子どもの“からだ”にこだわった研究を続けている。著書に『新版からだの“おかしさ”を科学する すこやかな子どもへ6つの提案』(かもがわ出版)など。

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