中国で「日本に学べ」の声も…加速する少子高齢化

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 中国の少子化が止まらない。「一人っ子」から「二人っ子」へと政策を転換したものの、その効果は早くも息切れ気味だ。高齢化も予想を超えるスピードで進んでいる。2050年には、5億人の高齢者がひしめく世界に例のない「高齢者大国」になるとの予想も出ている。危機感を強める中国では、高齢化で先をゆく「日本に学べ」との声まで出始めた。大国化へのアキレス(けん)ともいえる人口問題に、中国はどう対処しようとしているのか。『未来の中国年表 超高齢大国でこれから起こること』(講談社現代新書)の著書もある近藤大介さんに寄稿してもらった。

知恵を借りるべきは日本

木陰で中国の将棋(象棋=シャンチー)を楽しむ人たち。中国では急速に高齢化が進んでいる(2018年6月、西安で)
木陰で中国の将棋(象棋=シャンチー)を楽しむ人たち。中国では急速に高齢化が進んでいる(2018年6月、西安で)

 2月11日、中国共産党中央宣伝部の機関紙『光明日報』の16面に、でかでかと「特異な」オピニオン記事が掲載された。タイトルは、「中国と日本の医療・年金・介護の協力によって高齢化への対応の助力とする」。筆者は、「中国経済の司令塔」である国家発展改革委員会傘下のシンクタンク、中国国際経済交流センターの姜春力情報部長である。長文の記事だが、要約するとこんな内容だ。

 <2018年末時点で、中国の65歳以上の高齢者人口は1.67億人、総人口の11.9%に達した。このペースで進めば、25年には高齢社会(総人口の14%以上)に、35年には超高齢社会(同21%以上)に突入する。日本に遅れること約30年だが、人数も速度も日本とは比較にならず、「未富先老」(富裕になる前に老いる)、「未備先老」(準備が整う前に老いる)が特徴だ。

 そのようなわが国にとって、知恵を借りるべきは日本の成功体験であり、その政策の試行錯誤から教訓を吸収すべきである。医療・年金・介護の分野において、人材育成から関連器具の生産まで、中国が日本と提携できる空間は大きい>

 私がこの記事を「特異」と形容したのは、ここ10年ほど、『光明日報』や中国共産党中央委員会の機関紙『人民日報』など、いわゆる中国官製メディアにおいて、「日本に学べ」という記事など、ほとんど目にしたことがなかったからだ。

介護保険すらない中国

1979年に始まった一人っ子政策の影響は、社会の隅々に及んでいた。一人っ子の奨励を呼びかける看板の前を人々が自転車で通り過ぎる(90年10月、四川省成都で)
1979年に始まった一人っ子政策の影響は、社会の隅々に及んでいた。一人っ子の奨励を呼びかける看板の前を人々が自転車で通り過ぎる(90年10月、四川省成都で)

 中国の官僚たちと話していて、日本を「すでに終わった国」とみなす「冷ややかな視線」を何度感じたことか。極言すれば、10年に国内総生産(GDP)で日本を抜き去って以降、中国の目線の先にあるのは米国だけであり、中日関係は「中米関係の一部」のような扱いだった。

 そんな中で、突然の「日本に学べ」論調の出現である。中国でいったい、何が起こっているのか? それを知るにはこのオピニオン記事を書いた本人に当たるのが一番、というわけで、姜部長に見解を聞いた。

 「少子高齢化は、21世紀の中国で最大の問題になると見ています。50年には5億人もの中国人が高齢者になっているのです。それなのに、中国にはいまだ、介護保険すらありません。

 そこで世界の先進国を調査したら、わが国が一番学ぶべきは、隣国の日本であるという結論に達しました。日本は同じアジアの国で健康問題も似通っており、少子高齢化の進行及び対策が、中国の約30年先を行っている。高齢者向けの器具なども充実しています。昨年、日本へ視察に行きましたが、『日本に学べ』という確信を持ちました。

 幸い『光明日報』の記事は中国国内で反響を呼び、多くの賛意を得ました。中国の少子高齢化問題は、いまや待ったなしのところに来ています。これから日本の経験や制度を参考にしながら、来たる少子高齢化時代に対処していこうと考えています」

 中国の少子高齢化問題は、「待ったなし」のところへ来ている。高齢化については、姜部長が述べた通りだが、少子化もまた深刻なのである。

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482318 0 深読み 2019/03/12 07:00:00 2019/03/14 12:00:38 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/03/20190311-OYT8I50043-T.jpg?type=thumbnail

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