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アマゾンが「銀行」を作ったら…期待と不安の理由

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アマゾンと米国政府のせめぎ合い?

写真はイメージです
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 銀行と同じような機能を、従来の銀行が持ち得なかったデータを活用し、より個人に最適化したサービスを提供していきたいと考える巨大プラットフォーマーと、金融システムへの影響を懸念して、銀行業の免許を取らせて規制しなければ、と考える米国政府などとのせめぎ合いになるのではないでしょうか。

 銀行業の免許を持たなくても、決済サービスも、融資も、預金に近いこともできる。中でも一番有望とみられるのが中小企業向けの融資です。

 例えば、アマゾンのプラットフォームを使ってECを展開している中小の小売店なら、どれぐらい在庫を持っていて、どのぐらい価格の決定権があるか…などのデータをアマゾンが握っています。データを参照すれば、その会社がどれぐらい稼げるかなど、今までの銀行ではわからなかったことまで把握できるでしょう。

 従来の銀行がとても提示できないような金利などの条件で中小企業に融資することもできるのではないでしょうか。中小企業側がどんどん依存するようになるとも考えられます。問題は、依存が極限まで高まった時に、「もしも」のことがあったらどうするか、です。

 個人も含め、ユーザーは、「巨大資本ならお金を預けたり借りたりしても大丈夫」という錯覚に陥るものです。リーマン・ショックはそういった人間の錯覚から生じ、世界金融危機を招いたと言えます。人間がこのような間違いを繰り返し、バブルや金融危機を何度も引き起こしてしまうことは、過去の歴史が証明しています。

 プラットフォーマーを含め、フィンテックを駆使するサービスが拡大することについて、日本銀行の黒田総裁も懸念を表明しています。仮に、プラットフォーマーが経営難に陥った場合、銀行と同様に守るべきなのでしょうか。どのように制度設計し、救済資金を用意すべきか。技術やサービスの急速な進展で、守るべきものの境界線がわかりにくくなることへの危機感だと思います。これまで述べてきたとおり、アマゾンなどが銀行のようなサービスを作るとすれば、それが「銀行」であろうとなかろうと、万が一の場合の経済への影響は非常に大きいといえます。

 日本でも、銀行のようなことを、プラットフォーマーにやらせてもいいかが議論されています。今は銀行のライセンスなしでも、預金に近い性質のサービスが展開できますが、万一のことがあった場合、そのお金は保護されるのでしょうか。

 日本では、銀行に預けられている個人の普通預金は元本1000万円まで、企業の決済用の資金は無制限で保護されます。銀行業の免許を持たないプラットフォーマーの金融サービスを利用するユーザーを保護できるのか。世界中の中央銀行や規制当局は悩んでいると思います。

(聞き手・構成 読売新聞メディア局編集部 中根靖明)

プロフィル
柴山 和久( しばやま・かずひさ
 ウェルスナビ株式会社・代表取締役CEO。「誰もが安心して手軽に利用できる次世代の金融インフラを築きたい」という想いから、プログラミングを一から学び、2015年4月にウェルスナビ株式会社を設立。16年7月に世界水準の資産運用を自動化したロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」、17年5月におつりで資産運用アプリ「マメタス」をリリース。WealthNaviを使えば誰でも、世界水準の国際分散投資が実現できる。リリースから約2年7カ月となる19年2月に預かり資産1300億円、申込件数18万口座を突破した。起業前には、日英の財務省で合計9年間、予算、税制、金融、国際交渉に参画。その後マッキンゼー・アンド・カンパニーに勤務し、ウォール街に本拠を置く10兆円規模の機関投資家を1年半サポート。東京大学法学部、ハーバード・ロースクール、INSEAD卒業。ニューヨーク州弁護士。Forbes JAPAN「起業家ランキング2019」でTop20に選出。著書に「 元財務官僚が5つの失敗をしてたどり着いた これからの投資の思考法 」(ダイヤモンド社)。

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