「死ぬ」よりも「生きる」に不安…保険どう選ぶ?
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就職、結婚、出産など新生活を迎える節目に、保険の加入や見直しを検討する人もいるだろう。「病気で働けなくなったら住宅ローンの支払いは?」「認知症になったらどうしよう?」……。最近では、亡くなった後に遺族の生活を支える「死亡保障」よりも、存命中の生活を考えた「生存保障」に注目が集まっているという。保険を選ぶ上で注意する点は何か。ファイナンシャルプランナーの長尾義弘氏に解説してもらった。
「人生100年」は不安だらけ

先日、保険の相談に訪れた30代の男性会社員から、こんな質問がありました。
「子どもが生まれたので保険に入ろうと考えています。個人年金保険はどれがいいでしょうか?」
えっ? 私は思わず面食らってしまいました。子どもが生まれたタイミングで考える保険といえば、自分の身に何かあった場合に備え、収入保障保険などの死亡保険を検討するものだと思っていました。
これは、何を「リスク」ととらえるのかで生じる違いと言えます。実は最近、「死亡」よりも「生存」の方をリスクとして心配している人が目立ちます。
もちろん、自分が亡くなるという死亡リスクがなくなったわけではありません。
ただ、「人生100年時代」と言われるように長生きが当たり前になり、その分、老後の生活、がんや認知症といった病気、足腰の衰えなど、生きることに伴う不安やリスクが増えているのです。
こうした心配に対応して、生命保険も「生存保障」の商品が多くなってきています。
それにしても、死ぬことより、生きることを心配して保険をかけるというのは、以前だったらあまりなかったことです。なぜ、このような考え方になったのでしょうか。社会構造やライフスタイルの変化を見ていきましょう。