トラブルに強い! 同業者も驚くあの私鉄のスゴ技

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 人身事故や車両故障といった列車トラブルは困りもの。全線ストップが長引けば、利用者のストレスはたまる一方だ。トラブル時も不通区間を最小に抑え、復旧までの時間が短いと評判なのが、東京・品川と三浦半島、羽田空港などを結ぶ京急電鉄だ。背景には、他の鉄道会社とはひと味違う特色があるという。最前線で運行管理の指揮を執る鈴木聖史(まさふみ)・同社運転課長(45)に話を聞いた。

全線ストップが少ない理由は?

複雑な構造の京急蒲田駅
複雑な構造の京急蒲田駅

 京急線は、品川駅と神奈川県の浦賀駅を結ぶ本線のほか、羽田空港国内線ターミナル駅へ直結する空港線、三浦半島の三崎口駅までの久里浜線など5路線からなり、総延長は87キロ。赤い車体が沿線住民に親しまれている。

 1日あたりの乗降客は平均263万人(2017年度)。都営地下鉄浅草線、京成線などとも直通運転し、成田空港へも乗り継ぎなしで行ける。

 運行本数は、起点の品川駅の場合、平日には上り下り合わせて700本以上。停車駅や行き先に応じてエアポート快特、特急など六つの種別がある。

――鉄道は、運行上のトラブルが避けられません。国土交通省「東京圏における1か月当たりの遅延証明書発行日数状況」(2017年度)によれば、京急は5.7日。総延長80キロ以上の路線では、トップクラスの少なさです。他の鉄道会社に比べ、全線ストップが少ないという評判もあります。何か秘密があるのでしょうか。

 品川駅など特に規模の大きな8駅では、信号の操作を全て手作業で行っていることが大きいと思います。取り仕切るのは、運転士を10年以上経験した「運転主任」です。

 例えば、1番ホームに止まっている普通列車が、後から2番ホームに着いた特急列車の直後に出発するダイヤだったとしましょう。ところが、何かの理由で特急列車が遅れたとする。コンピューターが信号を操作していると、普通列車をどうすべきか判断できません。その点、運転主任は「普通列車を定刻に先に出発させ、待避線のある次の駅で特急列車と待ち合わせる」と直ちに判断できます。

 2月27日早朝、京急富岡駅(横浜市)で人身事故が起きた際は、運転を見合わせる区間を最寄りの上大岡駅(同)―金沢文庫駅(同)とし、それ以外の区間を折り返し運転に切り替えました。この場合も、信号操作をコンピューター任せにしていたら、いったんコンピューターを止めなければならず、しばらくの間、全線で不通となっていたでしょう。

 空港線との分岐点である京急蒲田駅(東京・大田区)は、品川方面、横浜方面、羽田空港方面からの列車が絶えず出入りし、ホームも2階と3階に分かれる複雑な構造です。通常はコンピューターが信号操作を行っていますが、トラブルが起きると、監視を担当する運転主任が直ちに取って代わります。それにより、多少の遅れは生じたとしても、不通区間を極力つくらずに済むのです。

 時刻表通りに列車が運行している限りは、コンピューターは優秀でしょう。あえて手作業による信号操作にこだわり、技術の継承に力を入れているのは、トラブルが起きた時、遅れや不通区間といった“傷口”をできるだけ小さくするためなのです。

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502442 0 深読み 2019/03/25 07:00:00 2019/03/27 10:25:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/03/20190320-OYT8I50020-T.jpg?type=thumbnail

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