「おたく」も終活…集めた“お宝”どうなる?

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サブカル界の“重要文化財”

「生前見積」を始めたきっかけを語る辻中さん。手にしているのは、漫画家・水木しげるさんのデビュー作「ロケットマン」の単行本(1958年)。200万円の値がついているという
「生前見積」を始めたきっかけを語る辻中さん。手にしているのは、漫画家・水木しげるさんのデビュー作「ロケットマン」の単行本(1958年)。200万円の値がついているという

 自らの死後に残る財産を公益性の高い団体に寄付する「遺贈」への関心は高まりつつあり、日本財団の「遺贈寄付サポートセンター」(東京)には、3年前の開設以降、3900件を超える問い合わせが寄せられている。ただし、遺贈の対象となるのは現金か、換金性の高い不動産などに限られるのが一般的だ。

 コレクション品の場合、所有者にどれだけ思い入れがあっても、市場に多く出回っていたり、価値を認める人が極端に少ない分野であったりすれば、買い取りや見積もりの対象にはなりにくい。遺贈のケースと同様、対価を得られないとしても「財産」を後世に残したい、愛着のある収集品を散逸させたくないと願う場合はどうすれば良いのか。

 元気なうちに、同じ趣味の仲間と連絡を取り、「もし自分に何かあったら収集品を引き受けてくれ」と話をつけておくのは一つの方法でしょう。

 その一方で、サブカル分野の市場価値は、コレクターの熱意と説明力次第という側面もあります。例えば、買い取り業者が扱ったことがなく、価値が定まっていない分野の品だとしても、所有者が「1970年時点では、このメーカーがこれぐらいしか生産していなかった。調査結果はこの通りリポートにまとめてある」というふうに、その品の歴史を丹念に調べていたとしたら……。業者側も「面白い」と感じ、見積もりに出向くかもしれません。絵画における目利きに似ているとも言えます。

 先に例を挙げましたように、サブカルチャーにも、“重要文化財”と言えるような希少品があります。遺品の整理や処分を請け負う業者の中にも、「これは価値があるのでは」と注目し、散逸しない方法を提案してくれるところがあります。でも、そうではない場合はほとんどが、可燃ゴミや粗大ゴミになってしまうのです。

 サブカルの分野では今のところ、希少品を集めて所蔵する美術館や図書館などがほとんどありません。しかし、数百年前の美術品も今でこそ、重要文化財に指定されたり、公立の美術館に納められたりして大切に後世へと伝えられていますが、価値が見いだされるまでの間に消えて行ってしまったものも数多くあると思います。今、私たちが目にできるものが散逸を免れたのは、これらの価値に気づき、私財を投じて集めていた個人の力が大きかったと思うのです。サブカルにも同じことが言えるのでは、と考えています。

(聞き手:読売新聞配信部・室靖治)

プロフィル
辻中 雄二郎( つじなか・ゆうじろう
 1971年、北海道生まれ。98年、株式会社まんだらけに入社し、2001年に中野店店長。14年から取締役副社長を兼任。ビンテージ漫画部門統括。

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使い方
555760 0 深読み 2019/04/27 07:00:00 2019/04/27 07:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/04/20190422-OYT8I50096-T.jpg?type=thumbnail

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