時短のはずが…働き方改革、韓国の夢と現実

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ニッセイ基礎研究所准主任研究員 金明中

 日本では、この4月に働き方改革関連法が施行された。時間外労働の上限規制の導入、有給休暇の確実な取得、正規労働者と非正規労働者の間の不合理な賃金差別をなくすことなどが柱だ。ハードワークで知られる韓国でも働き方改革は課題となっていて、昨年7月から長時間労働の是正や最低賃金の引き上げに取り組んでいるが、いろいろと問題も起きている。韓国の先例から日本が学べる点もありそうだ。日韓両国の雇用政策に詳しいニッセイ基礎研究所の金明中(キムミョンジュン)准主任研究員に寄稿してもらった。

運転代行業、ドライバー増加の背景

 最近、韓国では運転代行業で働く人が増えているという話を聞いた。同様のサービスは日本にもあり、依頼者がお酒を飲んだ時などに、代わりにハンドルを握って家まで運転してくれるというものだ。運転手の中には、昼は別の仕事をして、夜は運転代行で働いている人もいるという。残業が制限され、これまで残業代で生活費の不足分を補ってきた人たちが、二つ、時には三つも仕事を掛け持ちして何とか生計を立てているというのだ。

 韓国の大型ディスカウント店「イーマート」が運営するコンビニエンスストア「eマート24」は昨年、無人店舗を9店舗から30店舗まで拡大する方針を示した。大手コンビニが無人店舗拡大に走ったのは、スマートフォンを使った決済や人工知能(AI)による顔認証技術の発達など、技術の進歩を反映した面もある。しかし実情は、最低賃金の大幅な引き上げにより、これまでと同じ数の人員を雇えなくなったことが大きな要因だ。

 韓国では、日本より一足早く働き方改革が始まった。関連する法律(改正勤労基準法。日本の労働基準法にあたる)が施行されたのは昨年7月である。日本の働き方改革は、長時間労働の是正のほかに、労働力不足の解消や生産性の向上を主な目標にしている。一方、韓国の働き方改革は低所得者の所得増加と雇用創出を目指したものだ。残業の上限規制や最低賃金の引き上げを改革の柱としている。

 働き方改革の進め方は日本より韓国の方が速い。改革が始まる前は年間の労働時間で日本を上回り、最低賃金で日本を下回っていた韓国だが、改革が計画通り実施された場合、年間労働時間は日本より短く、最低賃金は日本より高い国になる。しかしながら、あまりに急な改革は社会にひずみを生む。韓国では、それがすでに顕在化している。

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585761 0 深読み 2019/05/16 12:35:00 2019/05/16 12:35:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/05/20190510-OYT8I50018-T.jpg?type=thumbnail

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