米大統領選の構図を決める? 民主党“左派の星”

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上智大学教授 前嶋和弘

 トランプ米大統領は18日、来年の大統領選に出馬し、再選を目指すことを表明した。対する民主党は候補が乱立状態で、26、27の両日(米国時間)、開かれる討論会に注目が集まっている。世論調査で支持率トップを走るのは中道派のバイデン前副大統領だが、左派の動きからも目が離せない。左派の中では、アレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員が昨年来、ブームを巻き起こしている。現在29歳のオカシオコルテス氏自身は今回、被選挙権がないため出馬できないが、若いミレニアル世代の期待を背負う彼女がどの候補を支持するのかは、大統領選の構図に大きな影響を与えそうだ。今回の大統領選での行動が、彼女の真価を決めるといっても過言ではない。上智大学の前嶋和弘教授に寄稿してもらった。

民主党の新星は「民主社会主義者」

バーテンダーから下院議員になったオカシオコルテス氏(同氏の選挙運動用のビデオより)
バーテンダーから下院議員になったオカシオコルテス氏(同氏の選挙運動用のビデオより)

 「2020年(の大統領選で)、民主党に投票することは、急進的な社会主義の拡大に票を投じるのと同じで、アメリカンドリームの破壊だ」

 トランプ氏は再選出馬を表明したフロリダ州での集会で、「社会主義」という言葉を使って民主党を攻撃した。民主党の中で左派を代表する政治家の一人が、「民主社会主義者」を自称するオカシオコルテス氏だ。昨年11月の米中間選挙で連邦下院議員に初当選して以来、彼女が巻き起こしたブームは、今も続いている。発言を聞いても、ツイートを読んでも抜群の「切れ」がある。

 トランプ氏から「若いバーテンダー」と揶揄(やゆ)された時も、「私はバーテンダーであることを誇りに思う。何も間違ったことはしていない」と切り返した。女性下院議員としては史上最年少となる29歳での当選という若さが、勢いを生んでいるようだ。

 経歴もなかなかユニークだ。ニューヨーク市ブロンクス生まれの父親と、プエルトリコ出身の母親を両親とする労働者階級の家庭で育った。ボストン大学という名門大学で学んだが、在学中に父を亡くした。何とか卒業したものの、家計を支えるためにブロンクスに戻り、レストランでバーテンダーやウェートレスとして働いていたほか、スクールバスの運転手など複数の仕事をこなし、糊口(ここう)をしのいだ。

 仕事の合間に、2016年の大統領選挙で民主党から立候補し、若年層から熱烈な支持を得たバーニー・サンダース氏の選挙運動にも加わった。

 オカシオコルテス氏が初めて全米の注目を集めたのは昨年6月。下院議員選挙の候補者を決める民主党の予備選挙の時だった。

 「私のような女性は、立候補すべきでないと思われている。裕福な家に生まれたわけでも、有力者の家に生まれたわけでもない。郵便番号(=住んでいる場所)が運命を決めるような場所で生まれた。私の名は、アレクサンドリア・オカシオコルテス……」

 彼女を紹介するビデオは上記のナレーションで始まり、安アパート、電車による通勤など、日常の風景が描き出されている。

 彼女が立候補した選挙区には、当選10期のベテラン、ジョー・クローリー氏という大物がいた。米国の場合、知名度や資金的な理由から、本選挙で現職が再選を果たす確率は9割を超える。クローリー氏の場合、ここ何回かの選挙では対立候補も出てこなかった。

 予備選でオカシオコルテス氏は、労働者や移民の人々の生活に資する政治の変革を切々と訴えたが、ほとんどの人は「無名のバーテンダー」に勝ち目などあるはずはない、と見ていた。ニューヨーク州の著名な政治家の大半は、クローリー氏支持で固まっていた。

 ところが、ふたを開けてみると、オカシオコルテス氏がまさかの勝利。神がかり的な勝ち方は大きなニュースとなり、一夜にしてマスメディアの寵児(ちょうじ)となった。11月の本選挙では8割近い票を獲得し、共和党候補に圧勝した。

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660609 0 深読み 2019/06/27 20:16:00 2019/06/27 20:16:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/06/20190627-OYT8I50041-T.jpg?type=thumbnail

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