「学校に行きたくない」子どもが打ち明けられぬ悩み

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 警察庁の調べによると、昨年の自殺者総数は2万840人で9年連続の減少となり、10年前に比べ1万1000人以上少なくなった。ところが、小中学校や高校に通う児童生徒の自殺者数は減っておらず、昨年は2001年以降では最多の369人が若い命を自ら絶ってしまった。背景に何があるのか。児童生徒が学校で、深刻な「生きづらさ」を感じている様子が、若者を対象にした日本財団(東京都港区)のアンケート調査で浮かび上がった。[特集]STOP自殺 #しんどい 君へ

日本財団公益事業部国内事業開発チーム 児玉渚

若者の3割「本気で自殺考えたことある」

自殺者数の推移(警察庁統計をもとに作成)
自殺者数の推移(警察庁統計をもとに作成)
18~22歳の「自殺」に関する意識(日本財団第3回自殺意識調査報告書より)
18~22歳の「自殺」に関する意識(日本財団第3回自殺意識調査報告書より)

 18歳から22歳までの若者の30%が「本気で自殺を考えたことがある」といい、自殺未遂の経験がある人は11%に上る――。自殺に関する調査に毎年関わっている私にとっても、予想を上回るほどの深刻な数字だった。

 日本財団は2016年から毎年、インターネットを通じた自殺意識調査を行い、全国で最大約4万人の声を集めてきた。昨年は、初めて若年層(18~22歳)に絞った補助調査を行った。わが国の自殺者総数が減少傾向にある中で、10代以下の自殺者数は減っておらず、特に小中高生は増加傾向を示している。その背景に何があるのか、調べる必要があると考えた。

 調査は、全都道府県の18~22歳の男女を対象にインターネット経由で行った。全員が調査会社にモニターとして登録している人たちだ。

 有効回答を寄せた人は3126人。過去に本気で自殺したいと考えたことが「ある」と答えた人は30%(男性26%、女性34%)に上り、自殺未遂の経験が「ある」と答えた人は11%(男性9%、女性13%)を占めた。2016年に行った第1回調査は20歳以上が対象だったが、その際、自殺念慮(自殺を考えたこと)が「ある」と答えた人は25.4%だった。

 若者たちが自殺を考えたり、自殺未遂をしたりしたのはいつか。「(過去)10年以内」「5年以内」と答えた人の割合が「1年以内」よりも圧倒的に高く、男性で69%、女性は70%に達していた。

 このことは、20歳前後の若者たちが今まさに苦しんでいるという以上に、小学生から高校生ぐらいまでの頃に自殺を考えるほどの苦痛を味わい、今なおその記憶が消えていないことを示す、と考えている。

4人に1人は「学校でのいじめ」を苦に

若者たちが自殺を考えた理由(日本財団第3回自殺意識調査報告書より)
若者たちが自殺を考えた理由(日本財団第3回自殺意識調査報告書より)

 自殺を考えた理由も尋ねた。自由記述形式で答えてもらい、その結果を分析したところ、最多の「学校問題」が48%を占め、家庭問題(33%)、健康問題(24%)などが続いた。厚生労働省が発表した昨年の「自殺統計」でも、この三つの問題が10代の自殺原因の上位を占めていた。

 注目すべきは、子どもや若者たちに命を絶つことまで考えさせた「学校問題」とは具体的に何か、だ。

 自由記述してもらった内容をまとめると、最も多かったのが「いじめ」で、ほぼ半数を占めた。以下、「(友達などとの)不和」「学業」「不登校」「部活」などが続いたが、「いじめ」は群を抜いていた。

 つまり、私たちの調査で「本気で自殺を考えたことがある」と答えた若者の4人に1人が、「学校でのいじめ」を苦にしていたことになる。

次ページへ…いじめ苦に自殺は「例外」?

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771239 0 深読み 2019/08/31 07:00:00 2019/09/02 12:07:29 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/08/20190829-OYT8I50033-T.jpg?type=thumbnail

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