「学校に行きたくない」子どもが打ち明けられぬ悩み

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「抱えた悩み」以上の苦しみ

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 「様々な心理的事情から、いじめを受けていることを認めない中学生は少なくない」(7月10日付読売新聞社説)。小学生や高校生にも見られる傾向で、先に述べた調査が難しい理由の一つでもある。より深刻なのは、本心を明かせないがゆえに、「シカト」や「仲間外れ」で味わうよりも深い孤独感に(さいな)まれてしまうことだ。

 NPO法人OVA(東京都新宿区)は、深い悩みを抱える若者たちの相談にインターネットを通じて応じている。「死にたい」などの言葉を検索したユーザーに、ネット広告を表示させて接触を図り、メールなどで支援の声を届けるのが主な取り組みだ。代表の伊藤次郎さん(34)のもとに最も多く寄せられる声は「(悩みを)誰にも言えない」「居場所がない」などと、孤独感を訴えるものだそうだ。いじめを受けたケースでも、ひとりで抱え込んでしまう子どもや若者が多いという。

 伊藤さんは言う。「自殺を考えるほどの悩みがあっても、『周囲に打ち明けられない』と話す若者が多い。理由を聞くと、『きっと理解してもらえない』『迷惑をかけてしまう』などの答えが返ってくる。抱えている問題そのものよりも、その(つら)さを誰にも理解されない、誰にも聞いてもらえないという孤独感の方が、彼らを苦しめているのではないか」

孤独感を和らげる効果も…SNSも使い方次第

 私たちは2016年からの調査結果を基に、人の孤独感について分析を行った。その結果、人間同士は理解しあえないものだと思い、かつ自分の個別性(ほかの人とは違う特徴を持つこと)に気づいている人は、「人間は本来ひとりぼっちで理解者を得ることは不可能」と考えがちで、最も自殺念慮を抱く可能性が高いことが分かった。孤独感とどう向き合うかが、自殺のリスクを左右するカギとなる可能性があるとも言えよう。

 何をすれば、人は孤独感を和らげることができるのだろうか。今回の調査で、若者たちに「孤独だと感じたとき、どんな行動をとるのか」を聞き、それが自殺念慮や自殺未遂にどう影響するか調べた。

 調査で「プラスの関係(自殺念慮がない回答者の行動)」がみられたのは、〈1〉他者との接触〈2〉前向きな行動や認知の変化――だった。

 〈1〉には、直接会って話すこと以外に、電話やメール、SNSなどによるコミュニケーションも含まれる。SNSは最近、特に中高生の間で人間関係を悪化させるケースが多発している。しかし、より敷居が高く感じるであろう「直接、人と会う」「電話をする」などを最終目標とした上で、そのきっかけづくりのために使うのは有効のようだ。

 〈2〉は、楽しいことを考える、開き直る、何かに熱中する――などの例を挙げることができる。気分転換に買い物をしに外出するなどの日常的なことも含まれる。

 一方、「マイナスの関係(自殺念慮がある回答者の行動)」がみられたのは、〈1〉身近な欲求解消(寝る・食べる、テレビを見るなど)〈2〉内省・忍耐(空想する、自分を見つめ直すなど)〈3〉単独での没頭(映画やコンサートの観賞、読書など)――などだった。

 「人に気を使わず、一人で好きなことに没頭するのがストレス解消法だ」という声をよく耳にするが、深刻な孤独感を抱いている状況ではむしろ良くないようだ。それよりも、身近な誰かとコミュニケーションを取ったり、楽しいことを考えたりする方がいい。

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