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東邦大学大学院 岸恵美子教授
テレビのワイドショーなどで何度も目にする「ゴミ屋敷」問題。悪臭や害虫の発生など周辺住民への影響もあり、自治体が行政代執行で片付けるケースも少なくない。東京都内で16年間、保健師として高齢者宅などを訪ね、多くのゴミ屋敷の住民にも出会ってきた東邦大学大学院教授の岸恵美子さん(公衆衛生看護学)は、「迷惑だから」と一方的に片付けるやり方では解決しないと指摘する。周囲の目に「ゴミ」と映るものを、なぜ「ためこむ」のかを考える必要があるというのだ。
ゴミ屋敷の中では何が起きているのか

私が生活環境保全審議会のメンバーを勤める足立区(人口約69万人)は、ゴミ屋敷対策が進んでいて、2013年にゴミ屋敷対策の条例を施行しました。

条例ではゴミ屋敷を「ごみや樹木などにより、周辺住民の健康を害し、生活環境に悪影響を与える状態」と定義し、毎年、件数も公表しています。12年度から18年度までの7年間で、相談の受付件数は227件。このうち約73%にあたる167件を区が解決しました。

私は同じ東京都内の板橋区と北区で16年間、保健師として勤務した経験があります。この間、訪問先がゴミ屋敷だったケースも多く、その内側も見てきました。まず、その実態を紹介したいと思います。