「ゴミ屋敷」問題はなぜ片付かないのか

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「ゴミ」と認識しているか?

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 なぜ、ここまでの状況になってしまうのでしょうか。ゴミ屋敷になってしまうケースは、家の内外に積み上げられた品々を、住む人が「ゴミ」と認識しているか、「モノ」と認識しているかで大きく分かれます。

 体の衰えや病気などで足腰が弱ってゴミ集積所まで運べないとか、認知症が進んで分別ができず、その結果、集積所に出せないケースもあります。こうした人たちは、「ゴミ」と認識しているので、ヘルパーさんが手伝ったり、行政が代執行で片付けた後、継続して訪問支援したりすることで問題が解決に向かいます。

 しかし、「モノ」と認識している場合は問題解決が難しくなります。周囲が「ゴミ」だと判断しても、本人は「いつか使うから」とか、「必要なものだ」などと主張するため、勝手に処分することができないのです。

 例えば、身近な人との別れや、退職などで孤独になった人が、その心の空虚感をモノで埋めようとしたケースがありました。家族との思い出や自分が仕事をして輝いていたときの「証し」など、その当時を思い出させるモノが全て捨てられないのです。「思い出の品」と聞いて、誰もが思い浮かべる「家族との写真」や「永年勤続への感謝状」といったものばかりではなく、家族と生活していた頃の家具や、子どもが使っていた食器、仕事で着ていた服やかばんや書類など、その頃に身の回りにあったもの全部を残すこともあります。

 一方、人間関係でつまずき、人を信用できなくなり、モノを集めることに執着してしまう人もいました。自分で買ったものだけでなく、自転車を使ってわざわざ遠くまで行き、捨てられた廃家電などを集めるなどしていました。

ためこみ症とは

 中には、「ためこみ症」という症状が疑われる場合もあります。

 ためこみ症は、2013年の米国精神医学会の診断基準で明確に定義されました。「(モノの)実際の価値とは関係なく、所有物を捨てること、または手放すことが持続的に困難である」とされています。趣味でものを集め、捨てられないといったケースとは違います。「ためこみ症」の場合、代執行で片付けても、再びゴミを集めてしまうので、元に戻る可能性が高いのです。

 ためこみ症の原因はまだ特定されていません。また、ためこみ症ではないが「ためこむ」という行為が症状として現れる疾患があります。例えば、精神疾患や一部の認知症、発達障害や強迫神経症などでもみられる場合があります。

 明らかな疾患がなくても、「ためこむ」行為をやめられないケースを紹介しましたが、こうした人は、将来の希望を失っていたり、地域から孤立していたりすることが少なくありません。周囲に意見されても「もう、かまわないでほしい」と拒絶し、ついには自分自身の世話をも放棄してしまう「セルフ・ネグレクト」の状態になりやすいのです。その結果、日常、出るゴミや排せつ物の処理すらも面倒になり、それがどんどんたまって、ゴミ屋敷になってしまうのです。

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801707 0 深読み 2019/09/18 16:16:00 2019/09/18 16:59:38 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/09/20190910-OYT8I50022-T.jpg?type=thumbnail

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