「ゴミ屋敷」問題はなぜ片付かないのか

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「ゴミを片付けろ!」はNG

 セルフ・ネグレクトなどで生じたゴミ屋敷問題の解決には、そこに住む人の意識を変えるような支援が必要です。

 行政側がこうした住民と接触を図ろうとしても、最初の訪問では姿も見せないことがほとんどです。私は保健師として繰り返し訪れ、ダメなら「あなたの身体のことを心配しています。私が担当ですから、何かあったらご連絡くださいね」などと書いた手紙やメモを置くことをしました。メモを見て連絡をくれたケースもありました。

 ようやく顔を見せてくれた相手に、いきなり「ゴミを片付けてください」はNGワードです。持ち主はゴミだと思っていないものもあるので、捨てられることを苦痛に感じて、さらに心を閉ざし、会ってくれなくなってしまいます。

 まずは、ゴミの話は切り出さず、「体調はどうですか」などと尋ね、生活の困りごとやつらさを聞いて相談にのるようにして、信頼関係を築いていきます。住む人に対して、関心はゴミではなく、あなたの健康や生活の困りごとであり、できれば助けになりたいという意思を伝えることが重要です。

希望実現に向け、ちょっとだけ片付ける

画像はイメージです
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 信頼関係を築くことができれば、住む人から「○○という楽しみが持ちたい」「昔は人と話すのが好きだった」などと話を聞けるようになることもあります。そこでようやく、片づけを働きかけます。ポイントは住む人に、片付けることではなく、「本人がやりたいことや楽しみのためには、ゴミを少しだけでも片付けないと実現できない」と伝えることです。

 家族に会いたいという人には、「お孫さんの座れるスペースを作りましょう」と呼びかけ、ゴミの一部だけでも捨てることに同意してもらうという感じです。

 もちろん、信頼関係を築くには時間がかかり、どのケースでも簡単に問題が解決することはありません。

 ただ、本人の認識を変えぬまま、代執行で片付けても根本的な解決にはなりません。先ほど紹介した足立区では、7割以上のゴミ屋敷問題を解決しましたが、これまでに行政代執行によるゴミの撤去は行われていません。住民の声を聞き、介護サービスや生活保護、建物の改修や土地・建物の売却などの相談にのるなど、本人支援を第一にすることが解決につながったと考えています。

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801707 0 深読み 2019/09/18 16:16:00 2019/09/18 16:59:38 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/09/20190910-OYT8I50022-T.jpg?type=thumbnail

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