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    ノーベル賞

    ノーベル賞の大村智さん 多彩な顔持つ「日本のダヴィンチ」

    科学ジャーナリスト 馬場錬成
     今年のノーベル賞生理学・医学賞の受賞が決まった大村智・北里大特別栄誉教授の授賞理由は「寄生虫病に対する新しい治療法の発見」だった。しかし、その半生を追うと、「日本のレオナルド・ダヴィンチ」とでも呼びたくなる多彩なタレントの持ち主であることがわかる。その横顔について、「大村智 ―2億人を病魔から守った化学者」(中央公論新社)という著書もある読売新聞社OBで、科学ジャーナリストの馬場錬成氏に寄稿してもらった。

    メルク社の共同で開発した抗生物質

    • ガーナの現地調査へ行ったとき、大村先生を取り囲んで歓声をあげるアフリカの子供たち。イベルメクチンの開発者と知り、あっという間に取り囲んだという
      ガーナの現地調査へ行ったとき、大村先生を取り囲んで歓声をあげるアフリカの子供たち。イベルメクチンの開発者と知り、あっという間に取り囲んだという
    • オンコセルカ症(河川盲目症)を引き起こす線虫。これが網膜の中に入り込み、白内障や角膜炎を起こして盲目にさせる
      オンコセルカ症(河川盲目症)を引き起こす線虫。これが網膜の中に入り込み、白内障や角膜炎を起こして盲目にさせる
    • メルク社のウィリアム・キャンベル・スクリーニング部部長とメルク社での写真(1990年)この二人が今回、ノーベル生理学・医学賞を受賞した。
      メルク社のウィリアム・キャンベル・スクリーニング部部長とメルク社での写真(1990年)この二人が今回、ノーベル生理学・医学賞を受賞した。

     2015年のノーベル生理学・医学賞の受賞に輝いた北里大学特別栄誉教授の大村智先生は、受賞理由になった熱帯地方の感染症の特効薬を開発しただけでなく、研究者として実に多くの「顔」を持っている。まず、研究者としての顔から紹介したい。

     受賞業績であるオンコセルカ症(河川盲目症)は、ブユが媒介する寄生虫病であり、網膜に入り込んでしまうと多くが失明してしまう。大村先生は、この抗生物質の元になる化学物質を、静岡県川奈のゴルフ場近くの土壌から発見したバクテリアから抽出した。

     細菌が身を守るために産生する化学物質の中には、人間に有用なものが少なくない。こうした化学物質を薬剤として開発したものが抗生物質であり、大村先生が発見して開発した薬剤も抗生物質である。開発する際には、アメリカのメジャーな製薬企業のメルク社と共同で行った。

     今回、ノーベル賞の共同受賞者となったアメリカ・ドリュー大学のウィリアム・キャンベル博士は、大村先生と共同で研究開発をしたメルク社の元研究部長である。大村・キャンベルのコンビが、ノーベル賞を射止める成果をあげたのである。


    2015年10月09日 10時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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