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    歴史

    解決!新しくなった世界遺産・姫路城、6つのギモン(1)

    城郭ライター・萩原さちこ

    なぜ、工事に5年半もかかったの?

    • 撤去される素屋根(2014年3月、萩原さちこ撮影)
      撤去される素屋根(2014年3月、萩原さちこ撮影)

     通常、文化財建造物の瓦を葺き直す場合には、瓦や漆喰を除去した状態の木部を風雨から保護するために素屋根(すやね)というカバーをかけます。姫路城大天守も例外なく、修理工事は大天守をすっぽりと覆う巨大な素屋根の建設からはじまりました。

     臨時の施設とはいえ、素屋根の建設そのものが大工事となりました。姫路城は地面下も含め特別史跡となるため、(くい)を打つことができないからです。

     姫路城は高台にあるため、まず資材を搬入する構台がつくられました。その後、高さ約38メートルの高さまでクレーンを移動させ鉄骨をつなげて構台を建造し、そこに基礎がつくられました。

     世界遺産に傷をつけることは許されません。迷路のように狭く入り組んだ城内に大きな鉄骨を通す作業は、立体的な測量技術が必要とされる緻密な作業となりました。なかには、鉄骨を通すと10センチしか余裕がないところも。中庭や台所など屋根が入り組んだ場所での作業は、重機を使った工事とはいえ、針の穴に糸を通すような作業です。史跡内は火気厳禁につき、溶接も不可。コンピューターを駆使した最新技術も取り入れながら、慎重に進められました。

    素屋根の撤去にも半年以上

     素屋根の上階は「天空の白鷺」という見学スペースとして2011年(平成23)3月26日から2014年(平成26)1月15日まで開館。素屋根の解体撤去は閉館の翌日からはじまり、鉄骨がすべて解体されたのは6月20日、基礎コンクリートの撤去完了は10月末でした。撤去にも、かなりの時間が費やされたことがわかります。渡櫓(わたりやぐら)の上を覆う(はり)は、空中で3分割して撤去。クレーンオペレーターの熟練技が必要とされる難易度の高い工事で、大天守の(ひさし)下に差し込んだ鉄骨梁は90度回転させながら()り上げて解体されました。その後、資材の搬入路である構台と基礎を約2か月かけて撤去し、今年2月にようやく仮設橋が撤去されました。

     もちろん、保存修理工事そのものにも惜しみなく時間と技術が投じられています。動員された職人は、のべ1万5000人。屋根目地漆喰をはじめ修復事例が少なく、経験ある専門職人も数えるほどしかいない技術も多いなかでの工事となりました。最新技術と職人による伝統工法が融合し、さまざまな分野における(たくみ)の技が集結したからこそ、5年半で完了した工事といえそうです。

     

    参考:「世界文化遺産・国宝 姫路城」ホームページ

     

    プロフィル

    萩原さちこ( はぎわら・さちこ
     城郭ライター・編集者。東京都生まれ、青山学院大学卒。執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演、講座もこなす。著書に『わくわく城めぐり』(山と渓谷社)、『戦国大名の城を読む』(SB新書)、『日本100名城めぐりの旅』(学研パブリッシング)、『お城へ行こう!』(岩波ジュニア新書)、『今日から歩ける! 超入門 山城へGO!』(学研パブリッシング/共著)、『図説・戦う城の科学』(サイエンス・アイ新書)など。公益財団法人日本城郭協会学術委員会学術委員。

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    2015年10月13日 09時40分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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