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    「家康くん」が天下をとったワケ…“ゆるキャラ”たちの事情

    萩原理史 三菱UFJリサーチ&コンサルティング副主任研究員
     いつの間にか、世の中にあふれたご当地キャラクター。中でも、ゆるいイメージの着ぐるみ「ゆるキャラ」が人気を博し、今や日本全国の地域イベントに欠かせない存在だ。ただ、最近は乱立気味で、税金の無駄遣いが増えるだけではないかとブーム自体をいぶかる声も聞こえる。最近の動向とその背景について、ご当地キャラクターに詳しい萩原理史さん(三菱UFJリサーチ&コンサルティング副主任研究員)が解説する。

    「みきゃん」を逆転した「家康くん」

    • グランプリを獲得し、喜ぶ浜松市マスコットキャラクター「出世大名家康くん」(左は鈴木康友・浜松市長。15年11月23日、浜松市西区で。読売新聞撮影)
      グランプリを獲得し、喜ぶ浜松市マスコットキャラクター「出世大名家康くん」(左は鈴木康友・浜松市長。15年11月23日、浜松市西区で。読売新聞撮影)

     現在、ご当地キャラクターで一番知られているのが、「ゆるキャラ(R)」(※「ゆるキャラ(R)」は、みうらじゅん氏の著作物であり、かつ扶桑社、及びみうらじゅん氏の所有する商標。以下「ゆるキャラ」とする)。

     その人気ナンバーワンを決める「ゆるキャラグランプリ2015」(主催:ゆるキャラグランプリ実行委員会、特別協力:扶桑社、オフィシャルメディアパートナー:読売新聞社など)決戦投票イベントが昨年11月21~23日に静岡県浜松市で開かれた。ご当地ゆるキャラ部門では、開催地・浜松市のマスコットキャラクター「出世大名家康くん」が総計695万3461ポイントを得票し見事グランプリに選ばれた。

     実は直前まで実施されていたインターネット投票でトップを走っていたのは、愛媛県の「みきゃん」。しかし、この日の決戦投票で家康くんが大逆転。みきゃんは総投票数で691万5774ポイントと、僅差で2位に甘んじた。なぜ、そんなことになったのか、その理由は投票システムにある。

     2010年に始まったこの「ゆるキャラグランプリ」では、インターネット投票と決戦投票イベント来場者による投票の合計で最終順位が決まる。

     ネット投票では、1メールアドレスにつき1日1ポイント投票できる、つまり、同じメールアドレスで別の日にまた投票できる。キャラクターがどんなに魅力的で人気が高くとも、“一見さん”(1回限りの投票で終わる)のファンだけでは全然足りず、毎日のように投票してくれる熱心なファンが支えることになる。15年大会ではこの投票は8月17日から11月16日までの3か月間で、「みきゃん」が1位だった。

    • 応援感謝を込めてパレードを行うみきゃん(15年11月、松山市の大街道商店街で。読売新聞撮影)
      応援感謝を込めてパレードを行うみきゃん(15年11月、松山市の大街道商店街で。読売新聞撮影)

     さて、その数日後に開催される決戦投票当日は、来場者が1人1.5ポイント投票できる仕組みだ。来場しやすいのは当然、その近くの人だから、開催地のキャラクターが有利なのだ。そして、15年の開催地は浜松。“地元愛”にあふれた地域市民の絶大な支持を得たのが、「家康くん」だった。

     こうして、徳川家康が「天下は天下の人の天下にして、我一人の天下と思うべからず(自分だけではなく、関わった人が一丸となって取り組んだからこそ成功に至ったという意)」と語ったとされるように、「家康くん」は浜松市民をはじめとした多くの支援者のおかげでグランプリに輝いたのだ。

     決戦投票イベント開催地は、初回の10年から13年までは埼玉県羽生市だったが、14年に公募制を導入して中部国際空港(愛知県常滑市)、15年は浜松市だった。今後も、各地の自治体や団体が決戦投票イベント会場に名乗りを上げ、選ばれた地域でイベントが開かれる。選ばれる条件としては、開催場所を確保し、イベントの準備や運営に協力できることが必要だ。少なくとも15年度はこうした“地の利”が有利に働いたと言えそうだ。

     

     

    2016年02月24日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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