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    医療・健康

    座りすぎはなぜ様々な病気を引き起こすのか

    早稲田大学スポーツ科学学術院教授 岡浩一朗
     デスクワークをする、テレビを見る、車に乗る…あなたの生活の中で、座っている時間はどのくらいあるでしょうか? 実は、座りすぎが病気や死の危険性を高めるという研究が、最近、注目を集めています。特に日本人は座る時間が長く、解消策が必要だと警鐘を鳴らしている、早大スポーツ科学学術院の岡浩一朗教授に、現状と対策を解説してもらいました。

    病気や死亡のリスク増、1時間座れば余命22分短く

    • 座りすぎが健康リスクをもたらすことが分かってきた(写真はイメージ)
      座りすぎが健康リスクをもたらすことが分かってきた(写真はイメージ)

     近年、長時間の座位行動(座りすぎ)がもたらす健康リスクが注目されるようになり、盛んに研究が行われるようになってきました。

     たとえば、45歳以上の成人における1日総座位時間の多寡と総死亡リスクの関連については、1日の総座位時間が11時間以上の成人は4時間未満の成人に比べて、総死亡のリスクが1.40倍高くなることが知られています(オーストラリアでのvan der Ploegらの研究, 2012)。

     そのほかにも、25歳以上の成人における余暇のテレビ視聴に伴う座位時間が1日2時間未満の成人と比べて、4時間以上の成人は総死亡リスクが1.46倍、心血管疾患死亡リスクは1.80倍高くなり(オーストラリアでのDunstanらの研究, 2010)、テレビ視聴のために1時間座り続けるごとに、平均余命が推定で22分間短くなることも指摘されています(オーストラリアでのVeermanらの研究, 2012)。

     さらに、移動に伴う座位行動に着目した研究では、自動車乗車時間が週4時間未満の男性に比べて週10時間以上の場合、心血管疾患死亡リスクが1.50倍高くなることも明らかにされました(アメリカでのWarrenらの研究, 2010)。

     一方、立位・歩行が多い仕事に従事する女性は、座位中心仕事の女性に比べて、総死亡リスクが32%、がん死亡リスクが40%低くなることも分かっています (イギリスでのStamatakisらの研究, 2013)。

     重要なポイントは、推奨される水準で身体活動をしていたとしても、座りすぎていたらこのような健康へのリスクは減らない、という点です。最近は、余暇時間に運動はしているけど、それ以外の時間に座りすぎている人のことを「アクティブカウチポテト」と呼ぶようにもなってきました。

     これまでの座りすぎの健康影響について検討した複数の研究を統合して解析した「メタ分析」によれば、座りすぎと総死亡、心血管疾患死亡・罹患(りかん)、がん死亡・罹患、糖尿病罹患との間には統計学的に意味のある関連があり、特に中高強度身体活動(息が弾み、汗をかく程度の強度の活動)が少ない場合に、両者の関連が顕著に認められるようです(カナダでのBiswasらの研究, 2015)。

     そのほか、歩行速度などに代表される機能的体力や脳の認知機能などにも悪影響を及ぼすことが報告されています。健康寿命延伸のためには、これまでのように身体活動を増やすことに注力するだけでなく、いかにして座りすぎを減らしていくかが重要な鍵を握っていると言えます。

    2016年05月09日 09時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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