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    政治

    「もう失敗できない」都知事の間違えない選び方

    明大教授・元都副知事 青山佾
     政治資金の「公私混同」使用を批判され、辞任した舛添要一氏の後任を決める東京都知事選挙が行われる。任期半ばで辞任した都知事は石原慎太郎氏、猪瀬直樹氏に続いて3人連続、「政治とカネ」の問題での辞任は猪瀬氏についで2人連続となる。東京五輪を4年後にひかえた国民にとって、今度の都知事選びは失敗できない一大事だ。首都・東京の顔にふさわしい知事とはいかなる人物であるべきか。都知事選びで知っておくべきポイントは何なのか。都庁に30年以上勤務し、石原知事のもとで副知事も務めた青山氏に、歴代知事を振り返りつつ執筆してもらった。

    変化する都知事像~「東京の問題」をどうとらえるか

    • 巨大組織のトップにふさわしいのはだれか。リオ五輪にあわせてブラジル国旗をイメージした緑と黄色にライトアップされた都庁舎(4月27日撮影)
      巨大組織のトップにふさわしいのはだれか。リオ五輪にあわせてブラジル国旗をイメージした緑と黄色にライトアップされた都庁舎(4月27日撮影)

     有権者が1000万人を超す都知事選で当選するには200万票前後が必要で、だれもが名前を知っている人物でなければ勝利するのは難しい。だが、知名度抜群だった猪瀬、舛添両氏が続けて途中辞職した後に行われる今回の知事選で、いまさら「感じのいい人」とか「有名な人」とかいう選び方をする人はいないと思う。

     「福祉に理解がありそうな人」「経済や雇用に重点をおく人」などという選択基準はあるかもしれない。しかし、ちょっと待ってほしい。都知事は、まちづくりから環境、福祉や経済に至るまで広い分野に責任をもつ立場だ。特定の分野に強いというより、全体に目配りしてバランスをとることができる資質も必要だ。

     時代ごとに求められる都知事像も変わってきた。1947年に初めて選挙で選ばれた都知事は安井誠一郎氏で、戦後復興期に3期務めた。その後を継いだ東龍太郎氏は1964年の東京オリンピックに向けて都市開発を積極的に進め、首都高速道路や都営地下鉄、環状七号線が整備される。

     1967年には「ストップ・ザ成長」を掲げ、そうした都市開発路線とは一線を画す革新系の美濃部亮吉氏が知事に就任。老人福祉手当や老人医療費無料化といった福祉政策の充実を目指した。美濃部都政が3期12年続くと今度は、鈴木俊一氏が「美濃部都政のバラマキ福祉」を批判して当選し、財政再建に取り組む。このあたり、都民のバランス感覚は生きていたと言ってよいかもしれない。「地味だ」と言われながらも官僚出身の鈴木都政は4期16年続いた。

     青島幸男氏は鈴木都政が企画した臨海副都心における都市博覧会の中止を訴え、ほとんどたった一つのこの政策で、しかも選挙運動をしないで当選した。青島知事が1期で引退すると石原氏が「ノーといえる」と強いリーダーシップを標榜(ひょうぼう)して当選し、4回の当選を重ねた。ここまでは、前知事のアンチテーゼで知事の座を射止めるというわかりやすい構図だった。

     3期以上当選を重ねた美濃部、鈴木、石原の3氏の共通点は「政策の特徴」が鮮明であるということだ。これに対して途中辞職した猪瀬、舛添両氏は政策の特徴が鮮明ではない。もちろん両氏にも、政策に対する強いこだわりがそれぞれあったかとは思う。しかし、それが鮮明には表れていなかった。短命に終わったからでもあるが、美濃部、鈴木、石原3氏とも知事選挙のときから声高に叫んでいた公約に対する執着があった。

     ひとことでいえば、その時代の「東京の問題」は何か、ということをきちんと主張する知事を選ぶことが大切である。選挙では、東京が最も解決しなければならない課題を見極め、それを解決する道筋を提示しなければならない。

     

    2016年07月11日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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