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    経済

    しまむらが若い女性にパトロールされるワケ

    ファッション流通コンサルタント 齊藤孝浩

    ローコストオペレーションを徹底

     それでは、低価格の掘り出し物が見つかるファッション専門チェーン・しまむらのビジネスモデルについて整理してみよう。

     しまむらのビジネスモデルは、一言でいうと「ディスカウンタータイプ」である。ここで言うディスカウンターとは、「常時値下げをして売る店」という意味ではない。商品を低価格で販売するため、仕入れ原価に対して利益(粗利益)をあえて低く設定。その一方で、店舗ではパート社員の積極活用などでローコストオペレーションを徹底させて費用(販売管理費)を抑え、企業として営業利益をしっかり残すという薄利多売型高収益企業のビジネスモデルである。売上高に対する売上原価率、粗利益率、販売管理費率、営業利益率を、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングや、「グローバルワーク」「ローリーズファーム」などを展開するアダストリアと比較してみれば、その違いが分かるだろう。

     粗利益率が低い、つまり売上原価率が高いということは、小売販売価格と商品原価が近いため、顧客が商品価値をより感じやすいのである。

    量販店向けアパレルメーカー品の博物館

     しまむらは、ユニクロのようないわゆるSPA(アパレル製造小売業=自社ブランドを自ら作り、店頭で販売するアパレル専門店)ではなく、アパレルメーカーが企画した商品を仕入れ、直営店舗で販売するメーカー仕入型のアパレルチェーンである。

     自ら商品企画機能を抱えず、多数のメーカーに任せることによって、自社の商品企画力の制約を受けない無限大のデザインソースを享受している。日本全国の大手アパレルメーカーから中堅アパレルメーカーまで一通り取引があるため、しまむらの売り場はある意味、「量販店向けアパレルメーカー品の博物館」である。そのため、中小のアパレルチェーン店のバイヤーたちの中には、しまむらに行って自社に欠落している商品を見つけ、商品タグにある連絡先から新規取引メーカーを開拓する者も少なくない。

     しまむらは、競合アパレルチェーンと比べて低価格で販売することをモットーにしているため、取引メーカーにとって、しまむらのバイヤーとの仕入コスト交渉は大変厳しい。しかし、しまむらは店舗数が多いため(2016年8月末で1354店)、発注量が多く、メーカーにとってもメリットが大きい。

     また、アパレル業界では今でも、発注した商品を全量引き取らなかったり、引き取るにしても値引きを要求したり、支払期日が納品から90~120日後と遅かったりという専門店チェーンも少なくない。ところが、しまむらは「一括全量引き取り」が条件である上、代金が翌月には必ず現金で支払われる。採算的には多少厳しくても、商売の歩留まりがはっきりするので、メーカーはキャッシュフローの安定のため、こぞって、しまむらとの商売を優先する。それが、大手取引メーカーの中にも、「しまむらが最大のお得意さん」というところが少なくないゆえんだ。

     その結果、しまむらの店頭には、消費者には無名ながら優良なアパレルメーカーが作った、低価格で品質の良い、バラエティー豊かな商品が並ぶのである。

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    2016年11月01日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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