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日本の山には「何か」がいる!・・・続く『山怪』ブーム

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名著『黒部の山賊』復刊もきっかけに

『定本 黒部の山賊』(山と渓谷社)
『定本 黒部の山賊』(山と渓谷社)

 山と渓谷社の編集者で、現在、同社主幹を務める勝峰富雄さん(51)との出会いも大きかった。勝峰さんは、2014年3月に“復刊”した『定本 黒部の山賊』の担当編集者だった。同書は、知る人ぞ知る山岳書の名著だが、自費出版のため、それまでは著者の伊藤正一さんが経営に携わる山小屋でしか買えない“幻の本”だった。

 この本の副題は「アルプスの怪」で、北アルプスの戦後間もない登山黎明(れいめい)期に、黒部の源流部で跋扈(ばっこ)する「山賊たち」と「山の怪異」を描いた記録。『山怪』は一部、『黒部の山賊』に通じるものがあった。別の企画を一緒に進めていた田中さんから、「実は、こんな原稿を書いている」と相談され、書きかけの原稿を読んだ瞬間、「これはいける」と直感したという。

 『山怪』の読者層には女性も多く、中高年の男性を中心にして、幅広く受け入れられている。多くの人に読まれている理由について、田中さんは「まったく分からない。ただ、人は不思議なもの、怖いものにひかれる。怖がらせようとは意識していないが、これまでとは違った味付けの本になっているため、受けたのではないか」。勝峰さんは「日本は山国であり、闇がある。都会で暮らしてはいても、地方出身の人は子どもの頃、そんな闇を経験している。この本で、そのときの恐ろしかった感覚を思い出すのかもしれない。文章が作為的ではなく、自然なのも良かったのでは」と指摘する。

 ベストセラーの理由について、狩猟文化と山村の現状にくわしい田口洋美・東北芸術工科大学教授は「震災や災害などが続き、自然の怖さ、自然の不思議さに興味を持つ人が多いのではないか。体験談を集めたものなので、リアリティーがある。『遠野物語』が出たときの驚きと同じように、都会に暮らす人たちに受けているのかもしれない」と語っている。

 柳田国男が『遠野物語』の序文に、「願わくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ」と書いてから100年余り。日本の山は今も変わらず、われわれ“平地人”を驚かせる怪異譚に満ちている。

プロフィル
伊藤 譲治(いとう・じょうじ)
 読売新聞編集局配信部兼メディア局記者。文化部次長、紙面審査委員(文化面担当)を経て、昨年6月から現職。文化部時代は教育、読書・出版、放送などを担当。

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