金正男氏殺害、「誤解」が生んだ悲劇

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 北朝鮮の (キム)正恩(ジョンウン) ・朝鮮労働党委員長の異母兄である (キム)正男(ジョンナム) 氏が、マレーシアの首都クアラルンプールの空港で殺害された。マレーシア警察当局は北朝鮮国籍の男ら3人を逮捕し、殺害に関与した容疑者として北朝鮮国籍の男4人を特定。韓国統一省も「事件の背後には北朝鮮の政権がいる」と発表した。事件は北朝鮮軍の対外工作機関・偵察総局の犯行である可能性が濃厚だが、まだわからないことだらけだ。この事件を朝鮮半島情勢に詳しい拓殖大学大学院特任教授の武貞秀士さんはどう読むか。武貞さんに寄稿してもらった。

金正男氏と見られる男性(2001年5月、成田空港で)
金正男氏と見られる男性(2001年5月、成田空港で)

金正恩体制の脅威ではなかった正男氏

 殺された金正男氏は政治に関心がなく、北朝鮮の後継者になりたいと思ったこともない。父親の金正日総書記が正男氏を後継者として本格的に検討したこともない。だから、中国は正男氏を担いで平壌に親中国の体制を作ろうという考えを持ったこともない、と私は考えている。

 本人に野心がないのに、北朝鮮の体制打倒を目標とする一部の脱北者団体が正男氏に期待を寄せたことが、北朝鮮には看過できなかったのだろう。

 昨年は在英国の北朝鮮大使館の公使が韓国に亡命した。中国にある北朝鮮直営レストランの従業員が集団脱北した。正男氏は韓国に亡命する意思はなかったが、北朝鮮からすると、万一、亡命でもされれば、体制のダメージになることは明らかだった。

 金正恩体制にとって、金正男氏の存在が邪魔になったことはない。金正日総書記は晩年、()英姫(ヨンヒ)氏との間に生まれた正哲(ジョンチョル)、正恩、与正(ヨジョン)の3氏の中から後継者を選ぶことを考えた。権力構図の上からも、(ソン)恵琳(ヘリム)氏の息子である正男氏は、正恩委員長に挑むほどの力は持っていない。

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 その後、金正日総書記は正恩氏に帝王学をほどこすようになった。正男氏の母、成恵琳氏は正日氏との仲が悪化して、1974年以降、モスクワに渡航したまま、2002年に死亡したと伝えられている。

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