これぞハリウッド! 米アカデミー賞の裏表

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 アメリカ映画界最大の祭典「第89回アカデミー賞授賞式」は、大本命と目されたデイミアン・チャゼル監督のミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」を抑え、貧困地域で育った黒人少年の成長を描いた「ムーンライト」が作品賞を受賞した。ノミネート作品をめぐる下馬評や授賞式の「陰の主役」、世界が驚いたあのハプニングについて、映画記者歴23年の読売新聞調査研究本部・福永聖二主任研究員が解説する。

大本命だった「ラ・ラ・ランド」

本命視されていた「ラ・ラ・ランド」。エマ・ストーン(左)は主演女優賞を獲得したが…… Photo credit: EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND. Photo courtesy of Lionsgate. (C)2016 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
本命視されていた「ラ・ラ・ランド」。エマ・ストーン(左)は主演女優賞を獲得したが…… Photo credit: EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND. Photo courtesy of Lionsgate. (C)2016 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

 アカデミー賞最高の栄誉である作品賞を受賞した「ムーンライト」は、自分が同性愛者であることに気づき、いじめや母親の虐待、そして麻薬などに傷つきながら生きていくアフリカ系アメリカ人の姿を、小学校時代、高校時代、成年時代の3部構成で描く作品だ。

 有名俳優も出ていない低予算映画ながら高い評価を受け、作品賞のほかに脚色賞にも輝き、父親代わりとして主人公の少年を導く麻薬密売人を演じたマハーシャラ・アリも助演男優賞を受賞した。「ムーンライト」はまた、アカデミー賞直前に発表されたゴールデン・グローブ賞でもドラマ部門の作品賞を受賞していた。

 だが、今回のアカデミー賞授賞式のオープニングを見た瞬間、「作品賞は『ラ・ラ・ランド』に決まりだ!」と思った映画ファンが多いことだろう。

 授賞式はこれまで、各賞の候補作をパロディー映像で紹介する形からスタートすることが多い。そして今回の授賞式は、歌手のジャスティン・ティンバーレイクの歌とパフォーマンスで始まった。会場が次第に盛り上がり、音楽で一体化していった。

監督賞を受賞した「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督
監督賞を受賞した「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督

 これぞ、今回一番の話題作だったミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」を象徴するような演出である。「過去最多の14ノミネートを記録したこのミュージカルは、いったいどれだけ賞を取りまくるのか?」と思わせるのに十分だった。

 しかし、こうした予想はものの見事にはずれた。

 ふたを開けてみると、「ラ・ラ・ランド」は監督賞(チャゼル監督)と主演女優賞(エマ・ストーン)は獲得したものの、受賞は思いのほか少ない計6冠にとどまった。

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