40兆円の損失を生む「子どもの貧困」の背景

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 「子どもの貧困」が深刻な問題となっている。進学や就職の道を狭められた子どもたちが、大人になってからも生活に苦しむケースが少なくない。このような状況で、子どもの貧困を福祉の観点のみから支援するだけで十分なのだろうか。児童養護施設で育ち、内閣府の子供の未来応援国民運動発起人・アドバイザリーを務める草間吉夫氏が解説する。

ある日、お母さんが蒸発した

(画像はイメージ)
(画像はイメージ)

 私は1966年、生後3日で乳児院に預けられ、高校まで茨城県内の児童養護施設(以下、養護施設)で育った。

 施設でともに育った先輩に、50代の男性Aさんがいる。

 両親と妹2人の5人で暮らしていたAさんが養護施設に入所したのは小学校低学年のころ。ある日、母親が突然蒸発した。それ以来、Aさんの父親は、ギャンブルにのめりこむようになって借金を繰り返し、一家の生活は一気に苦しくなった。

 満足に食事もできなくなり、Aさんは、この施設に身を寄せた。高校を卒業したものの、住所不定の父親を頼ることもできず、社員寮のある都内の会社に働き口を求めた。身寄りのない、初めての土地だったが、そこで自立を目指すはずだった。

 それから30年以上がたった昨年のことだ。都内のある区役所から、Aさんについて身元照会の連絡が施設に入ったという。Aさんは、何らかの理由で職を失い、その後生活が行き詰まって区役所に駆け込んだ。独り身のAさんは、結局、生活保護を受けることになった。

 なぜ、Aさんの半生は、こうも過酷なのか。

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