豊洲移転問題、石原元都知事喚問を前に考えること
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これからどうするのか

現在の築地市場の土地には終戦直後、進駐軍のクリーニング工場があった。有機溶剤を大量に使用していたと見られ、汚染の恐れがあることが最近になって指摘されている。戦前には海軍の施設があったことも知られている。
小池知事は「コンクリートやアスファルトでカバーされていて、汚染の観点で法令上の問題はない」と語ったそうだ。この点についてはその通りだと思うが、もともと築地市場の現地再整備が困難になり、頓挫した原因は、ほかにも(1)大混雑している場内に工事用車両が出入りできない(2)事業者に2度の仮移転を強いることになる(3)狭い敷地に工事用の土地が確保できない(4)工事中にアスベストが飛散する可能性がある――など、たくさんある。
20年の東京オリンピック・パラリンピックとの関係では、老朽化した築地市場内の業者は、HACCP(ハサップ=食品安全の認証基準のこと)を満たすのが困難という問題もある。そうなると、選手村隣接地に立地しながら、選手村に食品を提供できないことにもなりかねない。
このままで推移すると、小池知事と都議会は、どこかの時点で結局は豊洲市場移転を決定せざるを得ないのではないか。
百条委員会の“余波”は?
今回の百条委員会では、豊洲市場移転の経緯だけではなく、議会の存在意義も問われている。百条委員会の設置を要求してきた都議会各派と、ここまで豊洲市場移転問題を引っ張ってきた小池都政も、その真価が問われているのだ。
百条委員会の結果次第では、小池都政に対する世論の潮目も変わるかもしれない。7月に予定されている都議選の結果も、必ずしも予断を許さない。
東京人は、批判精神だけではなく、前向きの政策議論をも求めると思う。「誰が悪いのか」という議論だけでなく、「これからどうする」という議論も必要だ。

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