北朝鮮・金正恩体制が制裁にビクともしない理由

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制裁で苦しむのは体制を支える人々

北朝鮮が3月6日に行った弾道ミサイル発射実験。4発をほぼ同時に発射した(朝鮮中央テレビの映像より)=AP
北朝鮮が3月6日に行った弾道ミサイル発射実験。4発をほぼ同時に発射した(朝鮮中央テレビの映像より)=AP

 それでも、北朝鮮の体制維持のために作られた巨大な統治機構を維持するには、資金はまったく不足しているようだ。120万人とも言われる軍人や在外公館員を維持するだけでも莫大(ばくだい)な予算が必要だ。

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 朝鮮人民軍の部隊は自給自足を強いられている。武器などの軍事物資以外で生活に必要な物は自力で調達しなければならない。北朝鮮兵士の約3割が栄養失調状態にあるとの証言もある。

 在外公館も涙ぐましい努力をしている。駐モスクワ北朝鮮大使館の例で見られるように、建物を賃貸しすることすらあるようだ。

 近年、平壌の主要レストランや闇市場に出回る唐辛子や調味料といった食材や調理道具、生活必需品は、中国にある北朝鮮公館や貿易機関などに駐在する外交官や駐在員らが、手荷物として平壌に持ち込んでいるという。贅沢(ぜいたく)品も同じだ。

 北京の中国人ビジネスマンの証言では、北京に駐在する北朝鮮籍の記者やその他の駐在員も、朝早く起きて北京の朝市で必要な食材などを調達し、中朝を結ぶ国際列車を利用して本国に送るという。

 つまり、ここ数年の間、金正恩指導部をターゲットにした制裁は、皮肉なことに金正恩委員長ではなく、体制を支える人々に対して効果を発揮しているのである。

 昨年、韓国に亡命した駐英国北朝鮮大使館の太永浩(テヨンホ)公使によると「北朝鮮幹部たちは皆絶望感を覚えている」という。高級幹部、特に在外公館員らは希望を見いだすこともできず、苦しんでいると証言している。

 「普段は強気な北朝鮮の駐在員たちも、最近は苦しい事情を隠そうとしない」と北朝鮮駐在員らと交流のある中国ビジネスマンは証言する。

 にもかかわらず、金正恩委員長は、なぜ苦しい経済事情を省みず、一発数百万ドルもするミサイルの発射実験を続けるのか。近年8回も発射実験を行った中距離弾道ミサイル「ムスダン」は国際的な相場で一回あたり3000万ドル(約33億円)もかかるという。加えて、経済破綻を導きかねないほどお金がかかる核実験を続けるのはなぜか。一言で言えば、金正恩体制維持のためである。 

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