ビール会社にも「おいしい」…ノンアル激戦の裏側

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 健康志向の高まりや「アルハラ(アルコールハラスメント)」の社会問題化などで、若者を中心にビール離れ、アルコール離れが進んでいると言われる。そんな中、注目されるのがノンアルコールのビールテイスト飲料だ。アサヒ、サントリーの「2強」が席巻する市場に、4月、キリンが新商品を投入し、競争が一気に激化した。各社の戦略から、独特の風味の理由まで、ビール業界に精通するジャーナリストの永井隆氏が解説する。

 春から初夏へ。気温の上昇に伴い、ビール類(ビール、発泡酒、第三のビール)の商戦が本格化していく中、もう一つの商戦が佳境を迎えようとしている。ノンアルコール(アルコール分が0.00%)のビールテイスト飲料市場をめぐるビール大手各社の攻防だ。

 キリンビールは4月11日、ノンアルコールの新製品「キリン零ICHI(ゼロイチ)」を発売した。わが国におけるビールテイスト飲料の先発メーカーでありながら、現在は同ジャンルのシェア3位に甘んじているキリンは、この商品で活路を開き、トップ奪還を目指そうとしている。一方、現在シェア1位のアサヒビールは、主力の「アサヒドライゼロ」を、5月から6月にかけて前年同期比で約20%の増産に踏み切る。最盛期となる夏の商戦を制し、一気にライバルとの距離を引き離したい考えだ。

伸び悩むビール、成長するノンアル

 各社がノンアルコールビールに力を注ぐ背景として、まず挙げられるのが、“本丸”であるビール類の売り上げ不振だ。

2016年のビール類(ビール、発泡酒、第三のビール)の課税済み出荷量は、前年比2.4%減の4億1476万5000箱(1箱は633ミリ・リットルの大瓶が20本=12,66リットル)。12年連続の減少で、記録を取り始めた1992年以降、最低となった。

 これに対し、ノンアルコールビールの市場は、2009年にキリンが「フリー」を発売して以来、着実に成長している。大手4社の発表資料などを基に16年の販売量を計算すると、前年比1.8%増の1769万箱となった。これは、ビール類市場の約4.3%に相当する規模だ。

 メーカー別に見ると、首位はアサヒで、販売量は前年比8.2%増の794万箱(シェアは約45%)。2位はサントリーの695万箱で販売量は前年並み(シェアは約39%)。この「2強」が市場の8割以上を押さえている。3位はキリンで前年比4.85%減の197万箱(シェアは11%)。4位はサッポロビールで同11%減の83万箱(シェアは約5%)だった。

 消費者の健康志向や「アルハラ」に代表される酒席マナーの社会問題化、さらには飲酒運転への厳罰化などで、若者を中心にアルコール離れ、ビール離れが進んでいる。一方で、そうした心配のないノンアルコールビールは、女性を中心に徐々にファン層を広げている。

 もう一つ見逃せないのは、価格の問題だ。ノンアルコールビールは、ビール類と違って酒税を課されることはない。分類の上では缶コーヒーやミネラルウォーターと同じ清涼飲料だからだ。その分、ビール類に比べて価格は安い。350ミリ・リットル缶の店頭価格を比べると、ビールが1本約2百数十円であるのに対し、ノンアルコールビールはほぼ半額の約百数十円となっている。

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