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警戒せよ! 秋田の「人食いグマ」は3頭生き残った

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2人目を殺害したのは「大きな赤毛の雌グマ」

 現地での追跡調査と聞き取り調査を総合すると、第2現場で襲撃したのは、スーパーKと名づけた若い雄グマではなく、その母グマで、当時、子連れだった「大きな赤毛の雌グマ」という結論が導き出された。第2の犠牲者が出る直前に、スーパーKはヘリコプターや捜索隊の騒音を嫌って熊取平を離れ、田代平の第3の現場へ移動したとみられるからだ。スーパーKと赤毛の雌グマが親子であると判断したのは、互いの存在を知りつつ、わずか50メートルで緊張感もなく大豆の若葉を食べ続けていたことと、胸にある月の輪模様が極めて似ていたためだ。

 なぜ、大きな母グマは第2現場を離れなかったのか。小さな子グマを3頭も連れていて、おそらく、身動きが取れなかったためだろう。この犠牲者以外の3人は、以前推測したとおり、スーパーKが殺害したとみている。だが、スーパーKは昨年9月3日、田代平に仕掛けられた捕獲(おり)で捕らえられ、駆除(殺処分)された。現場に居合わせた関係者によれば、檻の中で半狂乱だったという。推定4歳の雄グマで、体重は100キロには及ばなかったものの84キロだった。

 人間を食害したクマは、スーパーKを含め計5頭いたと考えられ、現在、生き残っている人食いグマは次の3頭だと推測している。

(1)第4現場付近で射殺された雌グマと行動を共にしていた現在3歳の雄グマ。1メートルの至近距離で約20分間、対峙(たいじ)した男性(60歳代)によると、額の左側に古傷がある。

(2)2人目を殺害したとみられる大きな母グマ。この母グマは第1現場(5月21日)では食害に参加し、第2現場で殺害を行った後、短時間で現場を離脱した。2人目の遺体のそばに、この赤毛の母グマとみられる「大きな母グマがいた」という証言があり、子グマを3頭連れていたとみられる。このとき、子グマたちは幼かったため、食害には参加していないだろう。

(3)6月30日に男性に重傷を負わせた、別の母グマ(子が2頭)。第3現場近くにいるのが目撃されている。食害に参加したかどうか判断が難しいが、参加したとみていいのではないか。その後、子グマ2頭は昨年9月9日、田代平で駆除されている。この母グマは気性が荒く、危険な存在だ。

 私が今回、犠牲者の個人的な状況にまで踏み入って聞き取り調査したのは次の理由からだ。これまで日本で発生したクマによる連続殺害事件は、いずれも単独のクマによるものだった。しかし、十和利山クマ襲撃事件のように、殺人グマが2頭、他に食害に参加したクマが数頭いて、その一部が現地で生き残っている状況では、事件が再び起きる恐れが十分にある。再発を危惧し、事件に関係したクマを特定したかったからであり、事件とは関係のないクマを無駄に殺したくないという理由もある。

 昨秋、鹿角地方はクリが豊作だったが、クリの木にクマが登った痕跡は極めて少なかった。ウワミズザクラやシウリザクラの果実などが大豊作であり、コナラ、ミズナラのドングリ類も皆無ではなく、クマの秋の食料は十分だったとみられる。

 だが、秋田県のまとめによると、同県では2016年度(平成28年度)のクマの捕獲数(駆除数)が、前年度の4倍以上の476頭(うち、有害駆除456頭)にのぼった。なぜ、秋田県で駆除数が大幅に伸びたのか。重大事故が発生したため、地域が過剰反応したことなどが考えられる。

 スーパーKは駆除されたが、今年、十和利山クマ襲撃事件の悪夢が再来する恐れは十分にある。

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431168 0 深読み 2017/05/11 16:30:00 2017/05/11 16:30:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20170510-OYT8I50027-T.jpg?type=thumbnail

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