中国「一帯一路」会議から見えてきたもの

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

中国のインフラ開発が抱える問題

 「一帯一路」が直面する最大の課題は、経済合理性である。

 途上国のインフラ投資の収益性は低く、慎重なリスク管理が必要だ。ところが、中国のインフラ開発で資金の調達先となる中国の国営金融機関は、政府からのバックアップが見込めるため、通常より甘い返済条件で融資する傾向がある。

 このため、プロジェクトが動き出した後に収益が見込めないことが初めてわかり、中止に追い込まれたり、資金が回収不能になったりするリスクが危惧されている。

 今年に入り、ロンドンと中国東部・浙江省沿岸の義烏市を結ぶ全長1万2000キロの国際貨物鉄道が運行を開始したが、その採算性には疑問が寄せられている。

 インドネシアのジャカルタとバンドンを結ぶ高速鉄道の建設を中国が受注したことは記憶に新しいが、その融資条件は受注を争った日本と比べて破格だった。キルギスの製油所など、建設後に採算がとれないことが判明したものもある。

 また、中国企業の開発は、環境や地元経済への配慮が足りず、住民の反発を買うケースも少なくない。ミャンマーのミッソンダムの開発は住民の反対から中断され、昨年8月にミャンマー政府が設置した委員会が再開の是非を検討している。

 中国の政府調達の手続きや、プロジェクトの運営・管理の公正さにも疑問が寄せられている。今回の首脳会議でも、米国から参加したポッティンジャー氏が政府調達の透明性の重要さを指摘した。スリランカでは、親中派のラジャパクサ前政権から中国と距離を置くシリセナ現政権への政権交代が起きると、前政権下で締結されたインフラ整備など中国関連のプロジェクトの見直しが行われた。

 こうした収益性、環境などへの配慮、手続きの公正さの疑問といった中国のインフラ開発が抱える問題が、「一帯一路」によってさらに深刻になる可能性は否定できない。

 さらに、中国の影響力が高まることに対して地政学的な見地から警戒する国も多い。

 一帯一路はパキスタンでの経済回廊の構築を旗艦プロジェクトと位置付けるが、これに対しては、パキスタンと領有権問題を抱えるインドが強い懸念を表明している。今回の国際協力会議にインドが代表団を派遣しなかったのはそのためだ。

【あわせて読みたい】
政権1年、スー・チー氏が背負う重荷と希望
誤算続き? 豪腕ドゥテルテ大統領が直面する試練
豪首相に火を噴いたトランプ砲…その教訓とは
『米中もし戦わば』…トランプ政権のアジア観を探る
暴言も計算ずく? ドゥテルテ大統領の意外な素顔

1

2

3

4

無断転載禁止
430770 0 深読み 2017/05/29 05:20:00 2019/02/06 23:00:02

おすすめ記事

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ