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    「ボク褒められて伸びるタイプなんです」の叱り方

    日本アンガーマネジメント協会代表理事 安藤 俊介


    反発を招くNGワード

    • (画像はイメージ)
      (画像はイメージ)

     ここで紹介するNGワードは、リクエストが伝わらなくなってしまう言葉だ。叱る効果がないだけでなく、反感を買うなど逆効果となりかねないリスクもある。


    【1】過去にさかのぼる言葉

     「前から言おうと思ってたんだけど」

     「何度も言ってるんだけど」

     叱るときは、その時、その場所で起きたことだけにしないと、「ずっと批判的に見ていた」と思われ、後々の人間関係に影響しかねない。

     相手からすると、なぜ今さらそんなことを言うのかと不信感を抱いたり、反発をしたくなったりする。

    【2】責める言葉

     「なんで、できないんだ?」

     「それで?」

     こうした威圧的な言葉で責めると、部下を萎縮させかねない。相手は、その場から逃げるか、反論するかしかなくなってしまう。

     下を向いたまま、「すみません」を何度も繰り返し、その場をやり過ごそうとする部下もいるだろう。

    【3】強い表現

     「いつも」

     「毎回」

     断定的な言い回しは、反感を買いやすい。「君はいつも遅刻しているな」と指摘されたら、相手は「普段はちゃんとしています!」と抵抗を示すだろう。改めるべき内容よりも、「いつも」と言われたことを不快に感じる。

     反省を促そうと叱ったのに、「上司から不当な評価をされている」と不信感を植え付けてしまう可能性もある。

    【4】程度言葉

     「しっかりと」

     「ちゃんと」

     つい、使ってしまいそうなこういった程度言葉は、具体性がないため、実は伝わりにくい欠点がある。

     「ちゃんと、報告しろ!」と注意しても、「報告したのに、覚えてないのかよ」と思われかねない。「しっかり、やれよ!」と言えば、「お前もな」と心の中で毒づく部下もいるだろう。

    「叱れない」を克服する方法

     私のクライアントに、叱ることが苦手だという人がいた。彼は、叱る行為が「悪いこと」や「相手を傷つけてしまうこと」と思いこんでいた。そのため、職場では部下を叱るのをためらっていた。

     すると、いつの間にか、彼は「絶対叱らない人」「何を言っても平気な人」「無理を押し付けても大丈夫な人」と見られるようになってしまった。部下はなかなか彼の言うことを聞いてくれず、都合の悪いことは上から押し付けられるようになってしまっていた。言いたいことを抑え、常にストレスを抱え、何度も会社を辞めようと思うほどだったという。

     そこで、「叱ることは、リクエストすること」と考え方を見直してもらった。

    コピーをしてもらったり、ちょっとした書類の作成をやってもらったりして、小さなリクエストを部下に頼むことからトレーニングを始めた。

     当初は、その小さなリクエストでさえ抵抗感があったようだが、リクエストを出し、そのリクエストに応えてもらうという体験を繰り返すうち、自然と叱ることができるようになっていった。

     すると、目に見えて周囲にも変化が起こった。

    これまでのように都合の悪いことを押し付けられることがなくなり、ストレスが軽減されていると実感できた。そして、積極的に仕事をしたいと思えるようになった。 

     繰り返しになるが、叱ることは必要なことである。

     叱ることから目を背ける限り、リーダーとしての役割を果たしていないと言っても過言ではない。

     叱ることは悪いことではない。人を傷つけることでも、人間関係を悪化させることでもない。上手に叱ることは、人を育て、仕事をはかどらせ、生産性を上げることにつながる。

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    プロフィル
    安藤 俊介(あんどう・しゅんすけ)
     1971年群馬県生まれ。一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会 代表理事。アンガーマネジメントコンサルタント。2003年に渡米し、アンガーマネジメントを学び日本に導入。「怒り」をテーマとする指導や教育に関し、企業や学校などで講演・研修を行っている。主な著書に『はじめての「アンガーマネジメント」実践ブック』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『どんな怒りも6秒でなくなる』(リベラル社)

    2017年06月19日 07時24分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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