ツイッター投稿で読み解く「トランプ政治」

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悪いニュースは「フェイクニュース」

 大統領のツイッターで象徴的なのは「フェイク(偽)ニュース(fake news)」という言葉だろう。

 就任後、ツイッターでの最初の言及は1月24日の投稿だった。就任式の視聴率は、「CNNのフェイクニュース(FAKE NEWS@CNN)」より、FOXテレビの方が「はるかに高かった」とうそぶき、その後も3日と空けずにメディア批判を展開する。

 トランプ氏が「フェイク」と名指しするのは、テレビではCNNのほか、ABC、CBS、NBCの3大ネットワーク、新聞ではワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズの2大有力紙だ。このうち、ニューヨーク・タイムズには、「failing(つぶれかかった)」との“枕ことば”がつく。一方的にメディアを批判した後の決めぜりふは「不正直だ!(DISHONEST!)」というのがパターンだ。

 就任以来、低迷したままの支持率も、トランプ氏に言わせればフェイクだ。「昨日、ABCとNBCのフェイク世論調査が二つ出た。選挙戦の時同様、まったく間違っている!」(4月24日午前)と、選挙戦期間中の世論調査が軒並み「民主党候補のクリントン氏優勢」としていたことを“論拠”に、世論調査批判もやまない。

報道官を辞任したスパイサー氏(上、AP)と広報部長を解任されたスカラムチ氏(下、AP)
報道官を辞任したスパイサー氏(上、AP)と広報部長を解任されたスカラムチ氏(下、AP)

 ホワイトハウスでバノン首席戦略官ら内向き派とクシュナー大統領上級顧問ら国際派の内紛が起き、政策決定が右往左往していると伝えられると、「トランプ政権内で大げんかが起きているというフェイクニュースは信じないでくれ。我々はうまくいっていて、いろんなすごいことをやっている(We are getting along great and getting major things done!)」(3月7日午前)と完全否定だ。

 しかし、7月下旬にはホワイトハウスの混乱は内外に知れ渡る。大統領の右腕たる首席補佐官やホワイトハウスの顔ともいえる報道官が相次いでトランプ氏に事実上、更迭されたり、辞任したりする異常事態が発生したのだ。

 まずは、主流メディアとの対決の最前線に立ってきたスパイサー報道官が7月21日、辞任した。上司となる広報部長に、投資家のスカラムチ氏が起用されたことへの反発が背景にあった。大統領の方は、メディアによる「ロシア疑惑」などの醜聞追及を止められないスパイサー氏にいらだちを強めていたとされる。

 広報部長となったスカラムチ氏は、プリーバス大統領首席補佐官を「偏執狂」などと口汚く罵倒し、トランプ氏との親しさを吹聴。プリーバスの去就に関心が集まったところ、約1週間後の28日午後、トランプ氏がプリーバス氏の辞任をツイートした。プリーバス氏については、議会対策がうまくいっていないことの責めを負わせたとの見方が強い。

 後任の首席補佐官に起用されたのは、大統領がツイートで「偉大な米国人で偉大なリーダー」と持ち上げたケリー国土安全保障長官(退役海兵隊大将)。そして、ケリー氏が正式に新しい職に就いた31日にスカラムチ氏の解任が発表された。指名から解任までわずか10日。規律を重んじるケリー氏が、インタビューで四文字言葉を連発したスカラムチ氏を排除するよう大統領に迫り、大統領が受け入れたとみられる。新報道官のサンダース氏も「大統領はスカラムチ氏の発言を不適切とみている」と、これを事実上、認めた。

 大統領はその午後、「ホワイトハウスの偉大なる1日!」と投稿してみせた。

「株価上昇」「投資発表」…成果を熱心に投稿

 FOXニュース以外の主要テレビ局を「フェイク」扱いする大統領だが、自らが出演する時は別だ。「〇局で△時からインタビューが放映されるよ」。ホワイトハウスで初めて行った1月26日のABCテレビのインタビュー以降、トランプ氏は自らが出演するテレビ番組のPRを欠かさない。

 株価が上昇すると、「また最高値更新(hits new high)」(2月16日午前、3月2日午前、7月3日夜など)と熱心に投稿する。米自動車大手フォード・モーターがミシガン州内で設備投資すると発表した際には、「自動車会社が米国に戻ってくる。雇用! 雇用! 雇用!」(3月28日午前)とツイートするなど、内外の企業が米国での投資を発表すると成果の強調を怠らない。

 最近では、「五輪を米国(ロサンゼルス)にゲットするべく、奮闘している。乞う、ご期待!」(7月11日午前)と予告。ただ、6月の時点でパリとロサンゼルスが2024年と28年の夏季五輪の開催都市になることは国際オリンピック委員会(IOC)の既定路線となっていた。トランプ大統領の「奮闘(working hard)」は特段、必要なかったといえる。

 ツイッターは「ひとつひとつ、我々は公約を順守している。国境、エネルギー、雇用、規制(緩和)。大きな変化が生じている!」(4月12日夜)と主張するが、この半年の主要公約の履行状況を見ると、実行済みなのは、環太平洋経済連携協定(TPP)と気候変動に関するパリ協定からの離脱くらいで、税制改革、米国内の大規模インフラ投資、オバマケア撤廃、対メキシコ国境への壁建設などは立ち往生したままだ。

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