フィンランドの教育改革・下 職業人を育てる

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ものづくりを重視

 フィンランドでは、中学までの義務教育を終えると、半数近くの生徒が職業学校に進学する。その下地になるような教育が、小中学校で広く行われている。

技術の授業は男女必修で、オーディオ機器などを製作していた(エスポー市のタピオラ中学校で)
技術の授業は男女必修で、オーディオ機器などを製作していた(エスポー市のタピオラ中学校で)

 エスポー市のタピオラ中学校では、「技術」の授業で、作業着姿の生徒たちが工具を使い、オーディオのスピーカーを製作していた。真剣な表情で金属製の椅子を作る生徒もいる。日本の工業高校のように溶接などの本格的な実習があり、男女とも必修だ。

 伝統的にデザインやものづくりに定評があるフィンランドでは、小学校に工芸の時間があり、手を動かすことが重んじられる。エスポー市のヴィヘルカッリオン小学校では、電動ノコギリなどを使い、木製の戦艦作りに取り組んでいた。道徳心を学ぶ宗教の授業で、女の子たちが編み物をしながらビデオ教材を鑑賞していたのには驚いた。

 ヘルシンキ市の保育園では、就学前教育の一環として、6歳児たちが好きなキャラクターの縫いぐるみを手作りする。針と糸を持たせて手芸をさせる保育園は、日本では考えにくい。

 机上の勉強だけでなく、幼い頃からものづくりを重視することが、将来の進路の選択を豊かにするのかもしれない。

 2020年度以降に実施される日本の小中学校の学習指導要領でも、実社会や職業についての学習が重視される。日本の強みであるものづくりを、もっと取り入れることはできないか、と考えさせられた。

 先を見通しにくい時代に、子どもたちはどんな力を身に付ければいいのか。漠然とした不安を抱いている親や教師は少なくないだろう。先進的で多面性のあるフィンランドの教育に触れる機会は、日本の子どもの未来を考える上でも、視野を広げてくれると実感した。

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プロフィル
古沢 由紀子(ふるさわ・ゆきこ)
 読売新聞論説委員。教育、都政の社説を主に担当。1987年入社。山形支局、社会部、ロサンゼルス支局長、生活情報部次長、教育部長などを経て現職。小学生男子の「悩める母親」でもある。著書に「大学サバイバル」(集英社新書)。昨年、共著で 「大学入試改革~海外と日本の現場から」(読売新聞教育部、中央公論新社) を刊行。

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