直葬、散骨、墓じまい…進む「弔い簡素化」の行方は

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 お彼岸の墓参りは日本の伝統行事の一つだが、最近は「墓じまい」や「散骨」を選ぶなど、墓を持たない人も増えてきた。葬儀も近親者だけで執り行い、弔問や香典は辞退するケースが多くなっている。何がこうした変化を生んだのか。葬送問題を専門とする第一生命経済研究所主席研究員・小谷みどりさんが解き明かす。

葬儀参列者はなぜ減ったのか

葬儀参列者は減り、通夜・葬儀を2日に分けない「一日葬」も広がっている(写真はイメージ)
葬儀参列者は減り、通夜・葬儀を2日に分けない「一日葬」も広がっている(写真はイメージ)

 人が亡くなれば、お葬式をし、遺骨はお墓に埋葬される――。今、これが「常識」ではなくなりつつある。

 公正取引委員会が全国の葬儀業者に行った2016年の調査では、友人や仕事の関係者、近所に住む人なども参列する「一般葬」が減少し、「家族葬」が増加している傾向が明らかになった。火葬のみで済ませる「直葬」が増加している、という業者の回答は26.2%もあった。

 いわゆる「お葬式」をしない直葬だったからといって、遺族自身は「何もしなかった」とは思っていないこともある。家族が遺体のそばで思い出を語り合いながら一晩を過ごすのは、遺族にとって死別の貴重な時間であり、遺族の絆を確かめ合う時間でもあるからだ。

 前出の公正取引委員会の2005年調査では、5年前と比較して「参列者が減少した」という回答は67.8%だったが、2016年の調査では86.8%に増加しており、ほとんどの葬儀業者が、お葬式の参列者は減少していると回答している。

 その一番の原因は、死亡年齢の高齢化にある。

 国の人口動態統計に基づく筆者の計算では、死亡時に80歳以上だった人が全死亡者に占める割合は、2000年の43.8%から2015年には61.3%に上昇した。男女別でみると、2015年に亡くなった人のうち、80歳以上の人の割合は男性で50.4%、女性で73.0%だった。ようやく男性も半数が80歳を超えて亡くなる社会になった。

 「人生80年時代」という言葉はずいぶん前から使われていたが、多くの男性にとって80歳まで生きるのは容易ではなかった。2000年に亡くなった男性で80歳を超えていた人の割合は33.4%。3人に2人はそれ以前に亡くなっていたことになる。

 この20年間で男女ともに長生きする人が急増している。2015年には、亡くなった女性の36.0%が90歳を超えていた。女性にとって、「人生90年が当たり前」という時代はもう目の前だ。

 超高齢になると、きょうだいや友人の多くはすでに亡くなっているうえ、親の死亡時に子どもが定年退職していれば、仕事関係などの義理でやってくる参列者は激減する。これまでの葬儀は、遺族、参列者双方にとって、見栄(みえ)や世間体を重視してきた傾向があったが、60歳ラインを子どもも超えれば、こうした気遣いは不要になる。廉価で小規模な葬儀が増えるのは当然だ。故人が90歳近くで亡くなり、子どもたちが定年退職して何年も経過しているケースでは、故人の死を広く知らしめ、大勢の参列者に来てもらうのは申し訳ないと遺族が考え、「火葬が終わるまであえて知らせない」という選択をする例が増えている。

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