打倒「羽生世代」へ、台頭する若手棋士たち

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 藤井聡太四段(15歳)がデビューから快進撃を続け、注目を集めている将棋界に、世代交代を予感させる波が押し寄せている。これまで羽生善治二冠(46歳)ら現在40代の棋士を中心に回っていたタイトル争いに、20代の若手が割って入るようになったからだ。このまま世代交代が進むのか。次の時代を担う王者は誰なのか。将棋ライターの後藤元気さんに展望してもらった。

羽生の王位7連覇阻んだ男

羽生の王位戦7連覇を阻んだ菅井竜也七段
羽生の王位戦7連覇を阻んだ菅井竜也七段

 若者が王者に挑み、打ち破り、新たな王者となる。始まりがあれば終わりがあるのは自然の摂理である。どれだけ強い王者であれ、戦い続ける限りは世代交代から逃れることはできない。

 今夏、王位戦七番勝負において、6連覇中だった羽生王位が1勝4敗で敗れた。殊勲を立てたのは関西のホープ、菅井竜也七段(25歳)だ。

 菅井は角道を止めない攻撃的な振り飛車(=攻めの主力である飛車を左側に移し、さばきを狙う戦法)を主力としながら、相居飛車(あいいびしゃ)(=飛車を定位置に据えたまま攻め合いを目指す戦法)も見事に指しこなす万能型の棋士だ。ゴムまりのような弾力性豊かな指し回しと、的確で素早い状況判断は、他の棋士とは一線を画するものがある。

 菅井が生まれ育った岡山県は、将棋会館のある東京、大阪から離れている。昭和の時代ならば練習相手に困ったかもしれないが、現代はインターネットの対局サイトが充実している。菅井は伸び盛りの10代の頃、全国の強豪たちと年間1万局以上指していた。弱みになりかねない環境をはね返し、むしろ強みに変えてみせたのである。

受けの永瀬、終盤の斎藤、ソフト活用の千田

 若くて強いのは菅井だけではない。20代前半で旬の若手といえば、昨年、今年とタイトル戦線をにぎわせた永瀬拓矢六段(25歳)、斎藤慎太郎七段(24歳)、千田翔太六段(23歳)の顔が浮かぶ。

 永瀬は昨期の棋聖戦で挑戦者となり、羽生をカド番に追い込む健闘を見せた。棋界一と評判の序盤研究量と相手の攻めを根絶やしにしてしまう受けの強さが特長で、とにかく負かしにくいタイプである。

 斎藤は今期の棋聖戦で羽生に挑戦し、一躍、名を挙げた。外見も将棋もスマートで物腰が柔らかく、その雰囲気や所作から「はんなり王子」と呼ぶ人もいる。2011年と12年に詰将棋解答選手権を連覇したように、その終盤は切れ味抜群。中盤の混戦から一気に抜け出すスピード感は目を見張るものがある。

昨年の棋聖戦で羽生をあと一歩のところまで追い詰めた永瀬拓矢六段。受けの強さに定評がある
昨年の棋聖戦で羽生をあと一歩のところまで追い詰めた永瀬拓矢六段。受けの強さに定評がある
終盤の切れ味が抜群の斎藤慎太郎七段。物腰が柔らかで「はんなり王子」と呼ぶ人もいる
終盤の切れ味が抜群の斎藤慎太郎七段。物腰が柔らかで「はんなり王子」と呼ぶ人もいる

棋王戦で挑戦者になった千田翔太六段。将棋ソフトを活用した勉強法のパイオニアでもある
棋王戦で挑戦者になった千田翔太六段。将棋ソフトを活用した勉強法のパイオニアでもある

 棋王戦でタイトル初挑戦を果たした千田は、将棋ソフトを活用した勉強法のパイオニアとして知られる。「勝つことよりも強くなることに重点を置く」と公言するその姿は、道なき道をゆく修行僧のようだ。力強い攻めに定評があり、駒をタダで捨てて難局を打破する(=駒を犠牲にして、より大きな見返りを得る)場面もよく見られる。

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