打倒「羽生世代」へ、台頭する若手棋士たち

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20代後半も逸材ぞろい

名人戦2連覇の佐藤天彦名人。ファッションのセンスが独特で「貴族」と呼ばれることも
名人戦2連覇の佐藤天彦名人。ファッションのセンスが独特で「貴族」と呼ばれることも

 20代後半の棋士も負けていない。名人を保持する佐藤天彦名人(29歳)を筆頭に、竜王経験者の糸谷哲郎八段(28歳)やA級順位戦で活躍する稲葉陽八段(29歳)、豊島将之八段(27歳)。今秋に王座戦で3度目のタイトル挑戦を果たし、羽生の牙城を崩そうとしている中村太地六段(29歳)も次代のエース候補である。

 他にも逸材が多く、誰がブレイクしてもおかしくない状況。若手同士の苛烈な潰し合いから抜け出し、そのうえで上の世代を破る。地位を得ても、すぐに奪い返されてしまっては世代交代にならないのだから、生半可なことでは越えることができないハードルといえる。

「羽生世代」の厚い壁

将棋界の第一人者である羽生善治二冠。タイトル通算100期まであと2としている
将棋界の第一人者である羽生善治二冠。タイトル通算100期まであと2としている

 将棋界は長らく、羽生を中心とする世代に牽引(けんいん)されてきた。タイトル獲得98期の羽生を筆頭に、13期の佐藤康光九段(47歳)、12期の森内俊之九段(46歳)、6期の郷田真隆九段(46歳)、3期の丸山忠久九段(47歳)と藤井猛九段(46歳)。40代全体に範囲を広げれば、6期獲得の久保利明王将(42歳)、3期の屋敷伸之九段(45歳)と深浦康市九段(45歳)、1期の三浦弘行九段(43歳)がいる。

 現在30代のタイトル経験者は、19期の渡辺明竜王(33歳)と1期の広瀬章人八段(30歳)のみ。20代も名人2期の佐藤天、竜王1期の糸谷、今年王位を得た菅井の3人しかいない。40代棋士たちの壁がいかに高く厚いかがよく分かる数字である。

タイトル挑戦、勢いづく20代

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 ただデータを直近3年(2014年4月~17年9月)に絞ると、現40代棋士も決して安泰とはいえない姿が見えてくる。

 現40代のタイトル獲得数は羽生12期、郷田2期、久保1期。現30代は渡辺が5期。現20代は佐藤天2期、糸谷1期、菅井1期。別格の実績を誇る羽生を除けば、現30代と現20代も互角以上に戦えている。

 タイトル挑戦も現40代が10回、現30代が2回、現20代が13回。直近の5回(棋王戦、名人戦、棋聖戦、王位戦、王座戦)はいずれも現20代が挑戦権を得たことからも、大いに勢いづいていると判断できる。

 そもそも羽生世代とひとくくりに呼ぶこと自体が、現実に即していないのかもしれない。近年のタイトル戦だけを見ると、羽生世代で活躍しているのは羽生だけである。羽生は孤高の存在であり、羽生を倒さなければ次の王者は生まれない。世代ではなく、羽生という一人の棋士が壁なのだ。

 まずは、羽生が複数タイトルを保持する状況を打ち破るのが世代交代の最低条件だ。王者が絶対の存在であるうちに倒すことが、自身の全盛期を長く保つことにつながっていく。年齢を重ねれば重ねるほど、次の王者の天下は短くなる。時計の針は、若い世代に対しても容赦なく襲いかかる。

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