8Kテレビは「目の付け所がシャープ」?

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シャープの思惑とは…

 シャープはかつて、液晶テレビやディスプレーで業界をけん引してきた。2000年代には液晶テレビ「アクオス」の開発や生産などのため、計5000億円以上を投資して三重県亀山市の工場に大規模な施設や生産ラインを整備し、アクオスの「亀山モデル」のブランディングに成功した。一時期、国内の液晶テレビのメーカーとしてはソニーやパナソニック、東芝などの競合メーカーをしのぐ、圧倒的な存在感を持っていた。

 しかし、韓国、中国勢による攻勢で液晶テレビのパネルがコモディティー(日用品)化し、シャープの競争力は弱まった。11年にはスマートフォン(スマホ)向けを中心に需要が増えていた中小型液晶パネル主体の工場へと切り替えたが、間もなくテレビ向けと同様に海外勢との価格競争にさらされるようになった。巨額投資があだとなり、11年度の連結決算以降、計5回の最終赤字を計上した。16年8月に台湾の電子機器大手、(ホン)(ハイ)精密工業の傘下入りし、事業の再構築や追加投資などで、業績回復への道筋がつきつつある。

8Kの可能性などについて語る鴻海の郭台銘会長(昨年4月、堺市で)
8Kの可能性などについて語る鴻海の郭台銘会長(昨年4月、堺市で)

 そんなシャープが「世界初」にこだわったのは、鴻海の(かく)(たい)(めい)会長の強い意向があったようだ。実際、傘下に収める契約に調印した昨年4月の堺市での会見で、郭会長は「2020年の東京五輪を(8Kで)楽しめたらいかがだろうか。8Kは革命ともいえる」と語っている。「液晶・ディスプレーのシャープ」としてブランド力を取り戻すには、民生用の8Kテレビで消費者向けにアピールし、とにかく先を行く必要があると考えたとみられる。

 今、日本の電機メーカーで液晶パネルからテレビまでを一貫生産できるのはシャープのみ。有機EL(OLED)技術などで先行する韓国のサムスン電子やLG電子などがいずれ8Kテレビを発売してくると見越して、ブランド力の維持、強化のため「先手」を打ったのだろう。なお、シャープ以外の日本のメーカーはすでに放送局や映像制作会社向けの8K映像制作用機器やカメラなどを供給しているが、液晶パネルを作っていないこともあり「民生用8Kテレビの投入はもう少し先になるのではないか」(業界関係者)という。

 さらに、8K技術は放送向け以外の用途で活用できる可能性が高い。西山氏も「(テレビに限らず)8K映像のエコシステム(産業体系)を作っていく」と強調。「医療や教育、セキュリティーなどの分野で活用できる。さらに8Kの映像データをビッグデータとして蓄積し、AIで分析できるようになれば新しい価値を生み出すかもしれない」と自信を見せる。シャープが見据えるのも、放送そのものよりも巨大な市場が広がるBtoBのようだ。

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