トヨタ「GR」は若者のクルマ離れを止められるか?

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 トヨタ自動車が9月、新しいスポーツカーのブランド「GR」を発表した。トヨタは、GRの投入で「クルマに乗る若者が増えることを期待したい」(GRマーケティング部)とするが、ただでさえ「クルマ離れ」が進んでいるといわれる若者の「囲い込み」は成功するのか。自動車評論家の森口将之氏に解説してもらった。

豊田社長「クルマって楽しいぞ」

 東京・お台場のショールームで行われた報道関係者向けの発表会では、トヨタの豊田章男社長自らがGRのハンドルを握り、関係者を助手席に乗せるなどしてアピール。そして熱く、こう語った。

自らカスタマイズした「86GR」の横で笑顔を見せる豊田章男社長(東京都内で)
自らカスタマイズした「86GR」の横で笑顔を見せる豊田章男社長(東京都内で)

 「単なる移動手段ではなく、『クルマって楽しいぞ』って思ってもらいたい」

 では、なぜ豊田社長はGRにここまで力を入れるのだろうか。

 GRとは「GAZOO RACING(ガズー・レーシング)」の略で、元となったGAZOOは豊田社長自身が生み出したプロジェクトなのだ。

 豊田社長が、まだ会社のIT戦略を担当する課長を務めていた1996年、中古車も扱うトヨタのディーラー(販売店)では、中古車の展示スペース確保に悩んでいた。豊田氏は同僚とともに画像管理システムを開発。中古車の画像を店頭のモニターを通じてチェックできるようにした。これにより、展示スペースを広げずに、中古車の販売台数を増やすことに成功した。

 このシステムの名称がGAZOOだった。2年後の98年には会員制ウェブサイト「GAZOO.com」に発展。現在では、トヨタ以外の話題も扱う自動車関連総合サイトとして広く知られる存在に成長した。

 21世紀に入り、トヨタはGAZOOブランドでモータースポーツの分野に進出する。F1に代表される「国際格式レース」ではなく、スポーツカーの聖地と呼ばれる独ニュルブルクリンクで争われるツーリングカーレースなど、アマチュアドライバーも大勢参加するイベントに、「GAZOO RACING」として参戦し始めた。当時副社長だった豊田氏も「モリゾウ」の名前でドライバーとしてエントリーした。

 豊田氏が社長に就任した2009年には、モータースポーツの経験を生かした市販車の開発が始まる。まず登場したのはトヨタのテストドライバーだった故・成瀬弘氏の異名でもあった「マイスター・オブ・ニュルブルクリンク」の頭文字を冠したグレード「GRMN」だ。マークXやヴィッツなど一部の車種の少数限定モデルとして販売され続けたGRMNは、専用エンジンを搭載するなど、かなり本格的なスポーツモデルだった。

 続いて10年には、主にデザイン面でスポーツマインドを強調した「G’s」を登場させた。ヴォクシーやノア、アクアやハリアーなど、トヨタの代表的な車種にG’sグレードが設定された。

 そして15年、さまざまなチーム名で活動してきたモータースポーツ活動を「トヨタGAZOOレーシング」というチーム名で統一。そして今回、市販車のスポーツブランドをGRに「統合」したのである。

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