定年後に熟年離婚しない「いい夫婦」とは?

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“熟年離婚”は40年で13倍増

 居場所を失ってヒマをもてあまし、イラ立つ夫が家に居座り、管理職のように家庭内を仕切るのは、妻にとっては疲れるし、息苦しい。自分のための時間を犠牲にして夫や子どもたちの都合を最優先してきた女性なら、なおのことだ。

 会社やパートなどの職業生活から離れ、やっと手に入れた自由な時間で趣味、旅行、交友や地域活動などを楽しんでいたのに、後から遅れて来た夫に、あれこれ指示されたり、邪魔されたりするのは許せないだろう。

 このようなセカンドライフを巡る夫婦間の時間や経験のズレ、つまりギャップが、深刻な結果を招く一因になっているようだ。

 厚生労働省の2016年の人口動態調査によると、“熟年離婚”と呼ばれるような、同居30年以上の夫婦の離婚は1万1000件。1975年の866件から、約40年間で約13倍も増えた。

 私がこれまで、離婚問題の相談にのってきた経験では、夫の定年後、一緒に過ごす時間が増え、「見えなかったものを見続けなくてはならないストレス」が生じたと訴える女性が多かった。同様の悩みを持つ女性が、解消できず、離婚に踏み切るケースもあると思う。

シェアハウスで「離婚」を防げ

 高齢になっても、「いい夫婦」を続けるにはどうしたらよいのか。私が提案する一つの答えは、「見たくないものを見ないで済む」状況を意図的につくればよい、ということだ。

 実際に50歳で熟年離婚した知人夫婦のケースを紹介したい。2人は離婚後、元夫が病気になったのをきっかけに看病のため再び同居するようになり、結局、再婚した。

 2人は再び同じ家に暮らすようになったが、生活空間を分けて“シェアハウス”することにした。「お互いのプライバシーは不問にする」などのルールも設け、離婚前とは違って穏やかに暮らせるようになったという。「最初からシェアハウススタイルだったら、離婚なんかしなかった」と2人は口をそろえる。

空いた子ども部屋を生かす

 離婚で失うものの大きさと比較すれば、シェアハウスのためのリフォーム代の方がはるかに安いと考えることもできる。

 熟年世代のリフォームの相談を受けている建築家によれば、中途半端に「夫婦の寝室に仕切り戸を入れる」などの方法よりも、空いた子ども部屋を使って個室を二つ作り、それぞれの好みの内装にしてベッドも別にするデザインが好まれるという。

 こうして自分の居場所を確保し、食事だけを一緒にする程度のゆるい関係の方が「夫婦のほどよい距離感」が生まれ、それぞれの人生の残り時間を自由に使えて満足するらしい。

 夫婦の旅行についても同じことが言える。「見えなかったものが見える違和感」が熟年離婚の入り口になるなら、夫婦で長時間、顔を突き合わせることになる長期間の旅行はかなり危険である。夫が妻にお金を渡して、「気の合う仲間と行っておいで」と気分よく送り出すという選択肢もあるだろう。

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