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    社会

    偽100ドル札が日本で見つかったワケ

    偽造通貨対策研究所・所長 遠藤智彦

    五輪前は偽札が増える

    • 警察庁のデータから
      警察庁のデータから

     私の研究所では、海外の情報も集めていますが、現時点で、日本で見つかったものと特徴が似ている偽100ドル札が使われたケースは確認できませんでした。今回は換金場所として日本を狙った可能性が高いと思います。

     高額紙幣である米100ドル札は、アメリカなどでは小売店などではほとんど使えないのが現状です。米ドルは偽札が何度も作られてきた歴史があります。高額紙幣を使おうとしても断られたり、念入りに確認されたり、鑑定機にかけられたりすることもあり、警戒心が非常に強いのです。アメリカでは一般に流通している紙幣は20ドルまでで、このため偽札も20ドルが主流になったといわれています。

     一方、日本では国が外国人観光客を増やそうと取り組んでおり、小売店側でも、外国人観光客にとって利便性の高いサービスをしようと取り組んでいます。「高額紙幣お断り」というのはあまり見かけません。

     昔から五輪などの国際的なイベントの前は、偽札が増えるといわれています。警察庁のデータを見ると日本紙幣の偽札は減少傾向にありましたが、東京五輪開催が決まった2013年9月以降から増加傾向に転じました。

     海外ではインドで高額紙幣が廃止され、中国でも電子決済が進むなど、紙幣を使う機会自体が減っています。まだまだ現金取引が中心の日本は今後も狙われる可能性が高いといえます。海外の高額紙幣だけでなく、日本紙幣の新たな偽札が出回る可能性も含め、引き続き警戒が必要となってくるでしょう。


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    プロフィル
    遠藤 智彦(えんどう・ともひこ)
     1979年、専修大学(法学部)卒業。コンピューター関連機器メーカー勤務で、金融機関向け業務機器として偽造米ドル紙幣鑑定機の企画開発を経験。現在、紙幣鑑定機などの企画開発・販売を手がける日本シーディーアールを経営する傍ら、民間の研究機関「偽造通貨対策研究所」(http://www.gizoutaisaku.com/)の所長として公的機関からも偽造紙幣や有価証券などの鑑定の依頼を受けている。

    2017年11月27日 17時10分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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