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    社会

    マンションを襲う“二つの老い”とは

    弁護士 奥山光幸

    廃虚化する機械式駐車場

    • 写真はイメージです
      写真はイメージです

     マンションの住戸部分よりも早く老朽化が進み、危険が伴うものとして、機械式駐車場の問題があります。

     国交省の調査(13年度)によれば、東京圏では37%、京阪神圏では43%のマンションに機械式駐車場が設置されています。マンションを購入する際に意識されることは少ないかもしれませんが、共用部分ですので、駐車場の利用の有無にかかわらず住民には負担が生じることに注意が必要です。

     機械式駐車場の維持と修繕には高いコストがかかります。使用頻度やメンテナンスの状況にもよりますが、耐用年数として、一般的には20年程度が機械を総入れ替えする目安とされています。1台駐車分あたり100万円程度かかりますので、たとえば50台分とすると単純計算でも5000万円となり、マンション本体の修繕費に匹敵する額となります。

     長期間入れ替えなしで対応しようとしても、次第に修繕するための部品調達が難しくなり、点検費や整備費が割高になります。

     駐車場による収入が十分であればそれで賄えますが、高齢になった居住者の経済力は先細りしていきます。そうなると維持費や修繕費が支払えない、解体費用も捻出できないという問題に直面します。

     住民同士が総会で話し合ってどのようにするかを決められればよいのですが、居住者の死亡によって生じる「マンションの空き家問題」がそれを難しくしてしまいます。

    マンションの“空き家問題”

     国交省の調査(13年度)によると、マンションの空き家率(3か月以上空室となっている戸数の割合)は、全体の2.4%を占めています。このうち、2010年以降完成のマンションだけで見ると、空き家率は1.3%に過ぎませんが、1969年以前のものは8.2%と高まり、老朽化に比例して空き家率が上昇していることがうかがえます。

     これは、人口減少と核家族化の進行により、親世代が残した空き家を子が引き継いでも住まない、それでいて価値が低く売却や賃貸にも出せないので放置してある、といった理由から起きています。

     所有者の死亡後に相続人がいるかどうかが不明となるケースもあります。所有者が死亡した場合、相続した者が相続登記の手続きを行うのですが、法的義務がないため、登記記録が更新されないことも多いのです。

     こうなると空き家の権利が誰にあるのかわからず、他の居住者たちが総会を開きたくても連絡ができないという問題が生じます。また、空き家が増えれば、管理費と修繕積立金の減少につながり、機械式駐車場だけでなく、マンション全体の修繕ができなくなる可能性もあります。取り壊す費用も捻出できず、巨大な建造物が危険な状態で放置されるリスクが高いので、戸建ての空き家問題よりも深刻といえます。

     マンションの空き家は現在目立って問題視はされていませんが、今後は顕在化してくると思われます。

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    2018年01月13日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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