就任2年目 どこへ行く「波乱のトランプ米政権」

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「彼のよりずっと大きく強力な核ボタン」

「核のボタンは、彼のよりもずっと大きくパワフル(a much bigger & more powerful)」と書き、物議を醸したトランプ大統領の新年ツイート
「核のボタンは、彼のよりもずっと大きくパワフル(a much bigger & more powerful)」と書き、物議を醸したトランプ大統領の新年ツイート

 外交面でも、新年から大統領のツイートが話題を呼んだ。

 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長が、机上に置いているという「核のボタン」に言及したのに対し、トランプ氏は米東部時間2日、「誰か彼(金委員長)に教えてやってくれ。私だって核のボタンを持っているが、彼のよりもずっと大きくパワフルで、しかも私のは機能する!」と書き込んだのだ。

 日本の外交筋も、「あまりに軽々しい。一体この投稿に何のメリットがあるのか」とあきれ顔だ。

 核・ミサイル開発を加速化する北朝鮮情勢が、日本のみならず、米国にとっても外交上の一大懸案であることに変わりはない。南北対話などの動きはあるにせよ、「軍事行動を含む、あらゆる選択肢がテーブルにのる」(トランプ氏)という状況が続く。トランプ政権は、国連安全保障理事会での制裁決議採択を主導し、独自の制裁も強化。北朝鮮をテロ支援国に再認定するなどの手も打っており、日本政府もこれまでの対応を評価する。

 一方で、トランプ大統領の北朝鮮向けメッセージは、相矛盾することもしばしばだ。

 オバマ前政権下で国務次官(政治担当)を務めたウェンディー・シャーマン氏は、「不動産ビジネスでは、相手に自分の出方を読ませないことが利益につながるのかもしれない。だが、外交は、『こういう行動に対し、相手はこう出るだろう』という予測と計算で成り立つ」と指摘。北朝鮮の出方も予測可能性が高くないことを踏まえると、「双方の誤算が懸念される」と話す。

 トランプ氏が選挙戦時の「米国第一主義」といった公約を、現実の外交や通商政策に反映させようとする点も問題視されている。

 その最たるものが、エルサレムをイスラエルの首都と認めるとした昨年12月6日の発表だ。中東和平の進展を阻害したり、地域全体を混乱させたりすることを懸念し、歴代の米大統領が慎重に避けてきた決断をトランプ氏は行い、「歴代大統領は(エルサレムの首都)認定を遅らせることが平和を促進すると思ったが、そうはなっていない」とうそぶいた。これには、英独仏やヨルダン、サウジアラビアといった同盟国からも「中東和平の一大障害となり、テロをあおるだけだ」との批判が噴出した。

 決定の背景には、メキシコとの国境に壁をつくるなどの公約が進まない中で、キリスト教右派といった支持基盤や親イスラエル・ロビーの大口献金者に公約実行をアピールし、支持をつなぎとめたいとの思惑があったと見られている。いわば、国内の支持層の歓心を買うために重要外交政策を利用する手法であり、同盟国の強い懸念を招いたゆえんだ。

 このほか、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」や環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱、自由貿易協定(FTA)の偏重やカナダとメキシコという隣国との北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉も、この範疇(はんちゅう)の行動と言えよう。会田弘継・青山学院大教授は、「普通の政権ならば、選挙戦時のレトリックが国際政治の現実を前に姿を消していく。だが、トランプ外交は大衆迎合主義、反グローバル主義に加え、オバマ前政権の遺産(レガシー)否定といった主張からのトーンダウンがほとんどない」と見る。

 今後もトランプ氏の「米国第一」に世界が振り回されていくことは必至だろう。

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