今も同じ?「電車内の化粧はNG」

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 イヤホンなどからの不快な音漏れ、リュックサックを背負ったまま通路に立つ、泥酔状態で混雑時に乗り込む……。電車内の迷惑とされる行為がいくつもある中で、是非の判断が分かれるのが「車内での化粧」だ。「非常識」「マナー違反」などと批判する声がある一方、容認する意見も少なくない。その上、海外には電車内での化粧が「日常の風景」となっている国もあるという。どう考えれば良いのか。対人・社会心理学を研究する東京未来大准教授の日向野智子氏が読み解く。

「炎上」したCM……

 「♪都会の女はみんなキレイだ。でも時々、みっともないんだ」

写真はイメージです
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 若い女性がそう心の中でつぶやいた後、突然、奇妙なダンスを踊り出す動画を覚えている人も多いのではないか。

 2016年9月、東京急行電鉄が利用者のマナー向上を呼び掛けるために制作した広告だ。しかし、いざ放映されると、インターネット上で賛否両論が交錯し、いわゆる「炎上騒動」となった。

 この広告はシリーズもので、ほかにも大きな荷物を持って電車に乗り、荷物が子どもにぶつかってしまったり、駅のホームで「歩きスマホ」をしている人が注意を受けたりする様子を描いたものなどもあったが、これらが炎上することはなかった。

 「18歳の次女から『なぜ電車の中で化粧をしてはだめなの?』と聞かれ、言葉に詰まった」。これは昨年11月、読売新聞大阪本社版の「読者と記者の日曜便」で紹介された、ある母親からの便りの一節だ。ほかの「迷惑行為」とは違う何かを、母も娘も感じながら言葉にできずにいるのだろう。

化粧は「主観」の問題?

 その違いは何か。イヤホンから漏れた音は周囲の乗客の耳に届き、混雑した車内ではリュックサックが他の客の体に当たる。泥酔した人は酒の臭いを漂わせるばかりか、周囲に絡む恐れすらある。

 これらに比べれば、車内での化粧は、他の客に物理的、直接的な影響を及ぼすことはあまりないと言える。不快に感じるかどうかは、他人が化粧する姿を見てどう思うかという主観の問題、規範意識の問題なのだ。

20年前にも啓発CMが

 さかのぼること約20年、公共広告機構(現ACジャパン)制作のCMに、電車内で化粧に励む「メイク虫」や、荷物で座席を占拠する「バショトリ虫」などが登場して話題になった。これらの「虫」は、「自己中心」とかけ「ジコ虫」とまとめて名付けられ、その年の新語・流行語大賞でトップ10にランクインするほど知名度を高めた。

 どうやら、この頃から、電車内で化粧をする姿が目につくようになり、マナーやモラルの低下だと指摘する人が現れ始めたようだ。この時はCMを批判する動きは目立たなかった。

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