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    国際

    北朝鮮「非核化」の限りなく高いハードル

    龍谷大学教授 李相哲

    交渉決裂の場合は険悪化も

     ――もし、米朝首脳会談が決裂してしまったら、何が起きるか。

     「トランプ氏、金正恩氏とも個性が強く、予測不能な性格なので、どうなるかは全く想像できない。

     ただ、米国が求めているのは『完全で検証可能かつ不可逆的な』非核化である。トランプ氏は最後通告のつもりで正恩氏に会おうとしているのではないか。だらだらと話し合いを続けるつもりはない。

     正恩氏は核を保有している国の指導者として、トランプ氏と対面したい。交渉でどこまで踏み込むかまでは決まってない可能性がある。

     米国では、更迭されたティラーソン国務長官の後釜として、強硬派のポンペオ中央情報局(CIA)長官が会談の陣頭指揮を執る可能性があるので、北朝鮮も今までのようなごまかしはきかないだろう。米朝首脳会談が決裂した場合、朝鮮半島は再び緊張が高まり、米朝関係は険悪なものになるだろう」

    日本の力はいずれ必要に

    • 韓国の特別使節団の一員として北朝鮮を訪問した徐薫(ソフン)国家情報院長(左)と会談する安倍首相(3月13日、首相官邸で)
      韓国の特別使節団の一員として北朝鮮を訪問した徐薫(ソフン)国家情報院長(左)と会談する安倍首相(3月13日、首相官邸で)

     ――南北首脳会談から米朝首脳会談までの流れの中で、日本は「蚊帳の外」に置かれているとの声がある。日本が果たせる役割はあるのか。

     「日本は全くあせることはない。米国も北朝鮮もいずれ日本を頼りにしなければならない時がくる。北朝鮮が経済を再建する段階になれば、日本の制裁解除や援助がものすごく大事になる。日本との関係改善は必須だ。

     米国も東アジア、特に朝鮮半島に関して、具体的に何かを実施する段階になれば、一番頼りになるのは日本だということはわかっている。

     日本は今までの姿勢を保つことが一番大事だ。制裁を続ける。話し合いだけで見返りは与えない。拉致問題を解決しなければ、北朝鮮との関係改善はない。この3点を中心にすえて、ゆったりと構えてもいいのではないか」

    プロフィル
    李 相哲( り・そうてつ
     龍谷大学社会学部教授。1959年、中国・黒龍江省生まれ。北京中央民族大学卒業後、中国の日刊紙記者を経て87年に来日。95年、上智大学大学院文学研究科新聞学専攻で博士号(新聞学)取得。同大学国際関係研究所客員研究員などを経て98年、龍谷大学社会学部助教授。2005年より現職。主な著書に『朴槿恵<パク・クネ>の挑戦 ―ムクゲの花が咲くとき』(中央公論新社)、『金正日秘録 なぜ正恩体制は崩壊しないのか』(産経新聞出版)などがある。

    2018年03月17日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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