北朝鮮「非核化」の限りなく高いハードル

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いくらでもある抜け道

米朝の両首脳が映し出されたテレビ画面を見つめるソウル市民(3月9日撮影)=AP
米朝の両首脳が映し出されたテレビ画面を見つめるソウル市民(3月9日撮影)=AP

 ――米朝首脳会談で非核化に合意した場合、どのようなプロセスで行われるのか。

 「非核化の原則を確認するだけでは、1994年にスイス・ジュネーブで締結された『米朝枠組み合意』の失敗を繰り返すことになる。

 この時は、北朝鮮が核開発を凍結する代わりに米国が発電用軽水炉の建設を支援することを約束した。北朝鮮は重油や食糧の提供を受けたが、プルトニウム抽出やウラン濃縮を秘密裏に進めていたことが発覚し、合意は水泡に帰した。非核化のプロセスだけでなく、検証方法や、作業の期限を定めたタイムテーブルまで作らないと合意は無意味になるだろう。

 朝鮮半島の非核化ではなく、北朝鮮に限った非核化のためには、大まかに言って三つのステップが必要と考えられる。第1段階は、核実験やミサイル発射を中断し、北朝鮮の非核化の意思を明確にすること。第2段階は、核施設の査察を受け入れ、核施設内の作業を凍結し、最終的には使えないように施設を破壊すること。第3段階は、核兵器すべてを解体することだ。

 しかし、この過程で北朝鮮が約束を完全に守るという保証はない。第1段階を例にとってみてもそうだ。核実験をしなくても、データの分析は可能だ。それを誰が検証するのか。

 第2段階で核施設を凍結、破壊する主体は誰になるのか。国際原子力機関(IAEA)に任せるとしても、米国はIAEAが時間をかけて行う査察をじっと待つだろうか。北朝鮮が査察をどこまで許すのかという問題もある。

 第3段階で核兵器を解体するといっても、核をどこにいくつ隠しているかをアメリカがすべて把握していない可能性がある。

 要するに、完全な北朝鮮の非核化というのは、金正恩氏が『核は本当に必要ない』と思うようになるまでは不可能だ。

 このようなことを知っている韓国の文在寅(ムンジェイン)政権は、一括妥結を考えているようだ。(1)米国を促して北朝鮮との休戦協定を終戦協定に変え、平和協定を結ぶ(現在加わっていない韓国もいずれはその流れに加わる)、(2)米国が北朝鮮との国交を正常化、平壌に米国大使館を置く、(3)その代わりに、米軍は段階的に韓国から撤退する――というものだ。これは、北朝鮮と中国が長年求めてきた「宿願」でもあるが、実際は難しいのではないか」

 ――在韓米軍撤退はどのような影響を及ぼすか。

 「米国は地球戦略の中で朝鮮半島問題を考えている。在韓米軍の撤退で懸念されるのは、中国に対するけん制が弱まること。もう一つは東アジアの秩序を保つ上で重要な日本の足元がぐらついてしまうことだ。韓国にとっても、問題は安全保障だけではない。韓国に進出している外資が不安を感じて撤退するなど、影響は経済にも及ぶだろう」

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