読売新聞オンライン

メニュー

介護と仕事の両立、危機を乗り切る「心の持ち方」

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

まずは会社に報告を

経団連ホールで開かれた介護離職を防止するためのシンポジウム(介護離職防止対策促進機構主催)。仕事と介護の両立に関して、企業側の関心も高まってきている
経団連ホールで開かれた介護離職を防止するためのシンポジウム(介護離職防止対策促進機構主催)。仕事と介護の両立に関して、企業側の関心も高まってきている

 家族の介護に直面した従業員の方にまずやっていただきたいのは、人事担当者や自分の直属の上司に介護のことを報告することです。自分に不利になるのではないかと、不安に思う人もいるかもしれません。でも、介護を理由とした不当な人事異動や雇用契約の打ち切りなどは法律で禁止されています。

 上司に報告したら、そっけない反応をされるだけかもしれません。その一方で「仕事に集中できるように介護休業を使って環境を整備してきてください。必ず戻ってきてくださいね」と上司に言われて勇気をもらった人、人事部から会社の支援制度や相談窓口を懇切丁寧に教えてもらった人もいます。

 行動しなければ、どちらに転ぶかはわかりません。あえて「隠れ介護」を選択するのは自由です。ただ、隠れ介護はつらいです。ただでさえ初めてのことばかりの介護でストレスを感じているにもかかわらず、会社でその話ができない、無理をして今まで通りの働き方をする、なんてことをしていたら、余計にストレスはたまります。そして、そのストレスはやがてあなたの心と体を壊していきます。最悪の場合は、事件事故につながってゆく可能性だってあるのです。

いい意味で会社を利用する

 いい意味で会社を利用しましょう。会社だって人手不足の中、生産性の向上に試行錯誤しています。貴重な戦力を手放したいはずはありません。昨今、働き方改革が叫ばれています。この働き方改革の波には、ぜひ乗ってください。

 みずほ情報総研がまとめた『介護と仕事の両立を実現するための効果的な在宅サービスのケアの体制(介護サービスモデル)に関する調査研究報告書』によれば、「あなたは現在(または介護終了時)、介護のために働き方の調整等をしていますか」の問いに対して、就業継続者(介護期間中、介護を理由に転職・離職しなかった人)や、介護転職者(介護期間中、介護を理由に転職した人。離職は除く)で、「残業をしない/少なくしている」と回答した人は、それぞれ35.3%、41.4%でした。

 残業がオーバーワークで発生するのか、タスク管理の甘さから発生するのかによって対策は異なりますが、その原因を突き止めた上で、残業の見直しをするだけでも仕事と介護の両立はしやすくなる、ということがわかるのではないでしょうか。

 もちろん、介護休業などの各種制度は法律で決まっていることです。堂々と使ってほしいと思います。介護休業などを利用することに引け目を感じる人は、同時に生産性を維持向上させ、会社全体の利益にどう貢献するかを考えてみたらどうでしょうか。経営者も人事・労務担当者も手探りのケースが多く、だからこそ、介護の経験が価値あるものと認めてもらえるチャンスなのです。

 そうは言っても会社が介護者の支援に積極的じゃない、という例も少なくありません。であれば、社内で介護者のネットワークを作ればいいと思います。社内に介護者がいれば、その方と情報交換してみましょう。1人、2人と増えてくればネットワークになります。

 ある介護者は、社内のケアラー支援の立ち上げに自らリーダーとなって関わり、有志でやっていたケアラー支援を公認団体まで引き上げました。公認となれば、多少の予算が付きますので、そこで私を講師として呼び、介護セミナーを開催しました。何度かセミナーを開くたびに、社内の反響は大きくなり、ついには社長がケアラー支援に本腰を入れる方針を打ち出しました。自分と同じような思いを、同僚にしてほしくない、そんな一人のケアラーの強い思いが組織を動かしたのです。

1

2

3

4

5

無断転載・複製を禁じます
13905 0 深読み 2018/03/22 10:55:00 2018/03/22 10:55:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180320-OYT8I50055-1.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)